2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」

インドネシア FTA延期論

ASEAN・中国の協定「国内産業に打撃」


 1日から本格発効した東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の自由貿易協定(FTA)に、インドネシアで延期を求める声が上がり、国内で議論が続いています。

 ジャカルタからの報道によると、ヒダヤット産業相は20日、同FTA発効で安い中国製品が流入することにより、国内産業が「深刻な打撃を受ける」との見解を議会に示しました。国内産業の打撃が解雇や失業につながる懸念も示しました。

 FTAに対しては国内14産業が昨年から実施延期を要望。国内世論も多数が延期を支持していると伝えられています。同国バンドンでは6日、大量解雇につながるとしてFTAに反対する数千人規模の労働者のデモもありました。

 国内の要望を受けたインドネシア産業省は昨年12月、計228品目の関税撤廃について1〜8年の実施延期を求める文書をハッタ調整相(経済担当)に提出。同調整相は1月4日、同協定について「再交渉」するための通知文をASEANに送付したと明らかにしました。

 しかし、英字紙ジャカルタ・グローブ(電子版)によると、同国のパンゲストゥ貿易相は18日、「通知文」は国内産業の苦境をのべただけで、正式に再交渉を求めたものではないと指摘。関係国とは「非公式な対話」を続けていると明らかにしました。

 同貿易相は再交渉に消極的な姿勢を示しており、20日の議会への説明では、FTAによって中国への輸出拡大や中国からの投資増が見込めると強調しました。政府内でも意見が分かれているもようで、正式な実施延期要請については閣内での議論と「非公式な対話」の結果を受けて閣議決定で決められる見通しです。(ハノイ=井上歩)


 ASEAN・中国FTA タイ、インドネシアなどASEAN先行加盟6カ国と中国の間で、貿易される品目の9割について関税を撤廃。域内人口約19億人の世界最大の自由貿易圏誕生となりました。ベトナムなど後発加盟4カ国は2015年までにゼロ関税とします。インドネシアは中国に主に鉱物資源や植物油などを輸出し、中国からは機械や工業製品の輸入が多くなっています。


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