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2010年1月10日(日)「しんぶん赤旗」

大企業関係者のインサイダー取引

摘発相次ぎ21件

日立・三井住友銀・野村証券社員から情報

昨年


 日立製作所、三井住友銀行など、上場企業の社員の親族や知人によるインサイダー取引が相次いで摘発されています。証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで金融庁に課徴金納付を命令するよう勧告したケースは、昨年1年間だけで21件にのぼったことがわかりました。


 インサイダー取引は、企業合併・買収(M&A)や決算、不祥事など、未公表の重要事実を知って、その公表前に株券などを売買することです。そうした情報を知らない一般投資家との間で、投資の判断に著しい格差が生じることから規制の対象となっています。

 社員らが勤務先や取引先の内部情報を妻や母親、兄弟、学生時代の後輩などに漏らしたことが摘発の原因となります。(表参照)

 たとえば―。

 日立製作所の専務秘書だった姉から同社によるM&Aにかんする未公開情報を聞き出し、株取引をしたとして、課徴金752万円の納付を命じられたのは、元参院議員の秘書です。ことし7月の参院選で立候補を目指しているとされ、選挙資金などを得たかったといいます。

 2008年7月、経済産業省から特定商取引法に違反する悪質な展示会商法をしていたとして6カ月の業務停止命令を受けたカタログ通販大手「ベルーナ」(埼玉県上尾市)の社員も勧告を受けました。

 監視委によると、同社社員の一人は、近く業務停止命令を受けるという情報を同社で共働きしている妻から聞き、公表前に同社株を売却した疑いがもたれています。

 元三井住友銀行行員の会社役員は、同行でM&Aのアドバイザリー業務に従事していた元後輩の行員との会食の席で、ОA関連大手「ゼネラル」株をめぐる公開買い付け情報を入手。公表前にゼネラル株3000株を91万5000円で買い付けました。

 証券会社社員が関与した例もありました。

 キヤノンマーケティングジャパンによるシステム開発会社「アルゴ21」の買収など、合計5件のTОB(株式公開買い付け)についてアドバイザーとして契約をしていた野村証券の社員は、学生時代の後輩の公認会計士に情報を漏らしました。公認会計士は、情報が公表される前に5社の株計7800株を買い付け、258万円の利益を上げたといいます。

 カブドットコム証券の社員は、業務・資本提携に関する契約を締結していた三菱東京UFJ銀行が、同証券の株式の公開買い付けを行うという情報を入手、2回にわたって自社株を売買、44万円をもうけました。

 情報を漏らした社員・行員を解雇したり、自主退職させる企業がある一方、社内処分を見送る企業もあります。情報を漏らしただけで売買をしていない社員は法令違反に問われないためです。監視委は、企業に対し、きびしい社内処分とともに情報管理の徹底を求めています。

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