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2009年12月18日(金)「しんぶん赤旗」

主張

年末危機対策

やるべきことをやりつくせ


 年の瀬を迎え、雇用と中小企業の年末危機対策がいよいよ待ったなしの課題となってきました。

 各地の炊き出しに並ぶ失業者の列は昨年の倍に伸びています。失業給付の期限が切れても新たな職に就けない失業者は、政府の推計でも23万人に上る見込みです。

昨年より深刻な事態も

 鳩山内閣は「年末年始に、求職中の貧困・困窮者が、再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにする」としています。しかし、政府が十分な対策を速やかに実行しなければ、昨年以上に深刻な事態を引き起こす危険があります。

 中小企業の倒産件数も高水準で、厳しい資金繰りが続いています。年末・年度末を前にして、多くの中小企業が存立の危機に立たされています。

 雇用の面でも技術の面でも日本経済の土台を支える中小企業をつぶすことは、日本経済にとって取り返しの付かない損失です。

 日本共産党が提案しているように失業給付の延長をはじめ緊急の失業者支援を実施し、大企業に雇用責任を果たさせるなど政府は機動的に動く必要があります。休業補償・直接支援など中小企業への手当てを抜本拡充し、大銀行の貸し渋りや大企業の下請けいじめをやめさせることも急を要します。

 14日の党首会談で、これらの緊急策を提起した日本共産党の志位和夫委員長に、鳩山由紀夫首相は「一つひとつ検討させていただく」と答えました。

 雇用保険の全国延長給付は、政府の決断ですぐにでも発動できる対策です。首相は「『まだその水準ではないのではないか』と言われているが、果たしてそれでいけるのか、もう一度検討したい」とのべました。「限られた財源の中で慎重な判断が必要だ」としていた長妻昭・厚生労働相の姿勢から、一歩踏み込んだ答えです。

 雇用はかつてなく悪化しています。全国延長給付をいま発動しなくて、いつ発動するのか。厚労省は政令で定めた発動要件に満たないとしていますが、30年以上前に決めた間尺に合わない基準こそ直ちに改める必要があります。

 厚労省によると、失業給付の積立金の残高は来年度末の見込みで4兆4千億円に上ります。これを取り崩して、目の前の緊急事態に直ちに対処すべきです。

 大企業の雇用責任について、首相は「大企業が『非正規切り』をしない条件をつくっていきたい。経済界にも働きかけていきたい」と答えました。貸し渋り・貸しはがしをした大銀行には、「企業名の公表など、厳正に対処していきたい」とのべました。

一刻の猶予もない

 財界総本山の日本経団連が14日、「新成長戦略」をとりまとめて直嶋正行・経済産業相らに提出しました。「非正規切り」に何の反省もなく、大企業の国際競争力の強化を口実に法人実効税率の10%引き下げなどを要求しています。

 財界に言いたいことを言わせておく旧来の習慣を一掃する必要があります。政府は機会あるごとに、非正規切りや下請けへのしわよせをやめ、社会的責任を果たすよう財界に厳しく迫るべきです。

 雇用と中小企業の危機打開に一刻の猶予も許されません。内閣がイニシアチブを発揮してやるべきことをやりつくすよう求めます。



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