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2009年12月6日(日)「しんぶん赤旗」

主張

COP15開幕

温暖化防止の合意へ力つくせ


 国連の会議COP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議)が7日からコペンハーゲンで開かれます。

 温室効果ガス排出を大幅削減する現在の交渉は、地球温暖化を防ぐ国際協力の帰すうを決めるものです。京都議定書に続く次期枠組み交渉のヤマ場となるCOP15を失敗させることは許されません。

先進国の責任大きく

 COP15が迫るなか、米国や中国、さらに経済成長の著しい主要途上国が2020年までの排出削減目標(中期目標)を次々に示し、交渉にはずみをつけています。米国と並んで世界最大の排出国となった中国は、国内総生産(GDP)単位当たりで05年比40〜45%削減と発表し、インドも同24%削減する方針と伝えられます。ブラジルは対策をとらない場合に比べ最大38・9%削減としています。

 ただ、交渉の現状は厳しいものがあります。気候変動に関する英国政府報告をまとめたスターン博士は、産業革命以来の気温上昇を「2度」以内に抑えるとの科学的要請を達成できるかどうかは「五分五分」だといいます。

 交渉難航の最大の理由は先進国のとりくみの遅れです。先進国には歴史的に大量のガスを排出してきた責任があります。それに見合う排出削減義務を引き受けることこそ、途上国にも枠組みへの参加を求める前提になるからです。

 世界の科学者は先進国に、20年までに1990年比で25〜40%削減するよう求めています。しかし、先進国が示している目標は全体としてこれを下回っています。とりわけ米国は目標をわずか同4%程度としており、失望を買っています。国連気候変動枠組み条約のデブア事務局長は、先進国の姿勢が「科学の要請に見合っていない」と指摘しています。

 COP15の最終盤18日には首脳会議が開かれます。オバマ米大統領は国際圧力のなか、当初の方針を変更して首脳会議への出席を決めました。交渉の重要分野である途上国への資金支援でも、合意が形成されつつあるとの見方が浮上しています。国際協力を拡大するチャンスを迎えています。

 鳩山由紀夫首相は日本の目標を同25%とし、世界から歓迎を受けました。しかし、その具体化にはなお踏み出していません。日本は排出を増やし続け、京都議定書での削減義務も果たせていません。排出削減の具体化は一刻も猶予できません。

 鳩山政権が「すべての主要国が削減義務を負う」ことを日本の削減目標の前提だとしていることは見過ごせません。他国がやらないなら自分もやらないという姿勢は、25%削減に反対する財界などの主張に配慮したものです。

日本の公約実現こそ

 25%削減は日本の国際公約です。鳩山政権はCOP15での合意の成否にかかわらず、日本独自で目標を達成する手だてを講じるべきです。なにより日本の排出量全体の7割を占める産業界に削減を義務づけることが不可欠です。政府は産業界と拘束力ある公的削減協定を結ぶべきです。

 地球温暖化は近い将来、取り返しのつかない深刻な影響をもたらす可能性が強まっています。COP15で拘束力ある政治合意を得るために、各国は最後まで努力をつくすべきです。



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