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2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」

主張

外相沖縄訪問

新基地も県内移設も断念せよ


 岡田克也外相が就任後初めて沖縄県を訪問し、米軍の新基地建設や普天間基地の嘉手納基地への統合について、「年内に結論に至りたい」などの発言を繰り返しました。一方で岡田氏は、「国外・県外移設は約束していない」とか「(普天間基地を)閉鎖すればよいというものではない」と発言しており、県民は強く反発しています。

 岡田外相は、県民が新基地建設も県内移設も望んでないことを踏まえ、アメリカと交渉すべきです。岡田外相が態度を変えなければ「県民の思いを一番重く受け止める」という鳩山由紀夫首相の発言とも矛盾することになります。

県内移設こそ実現不可能

 鳩山首相は先週末のオバマ米大統領との首脳会談で、普天間基地問題を協議する閣僚級の作業グループ設置で合意しました。オバマ大統領は新基地建設の「合意」を実行するためだと発言しています。鳩山首相は「合意は重視するが、それですべて決めるなら議論する必要はない」とのべ、年内に結論を出すかどうかについても、「できれば年内ということでそれ以外の含みもある」としています。

 岡田外相は北沢俊美防衛相とともに、17日発足した作業グループの日本側メンバーです。その岡田氏が首相の説明にも反した発言を重ねるのは、鳩山政権の問題への基本姿勢を疑わせるものです。

 岡田氏は沖縄で、普天間基地の「国外・県外」移設について、「非常に狭い道だ」と発言しています。しかし、県民が切望する普天間基地の撤去は「狭い道」だが、県民が望まない“県内たらいまわし”は実現できるというのはあまりに現実を見ないものです。県民の意思を踏みにじる態度です。

 宜野湾市の住宅密集地に広大な面積を占めている普天間基地の撤去が、県民の安全にとっても暮らしにとっても、一刻の猶予もならないことははっきりしています。岡田氏が固執する嘉手納基地への統合も、今でさえ深刻な爆音などの被害を加速するだけで、県民に歓迎されないのは明らかです。実際、県民は県内たらいまわしに反対し、新基地建設計画が持ち上がってから13年間にわたって、杭(くい)一本打たせていません。

 求められるのは、沖縄の県民・市民が求める通り、普天間基地を撤去するよう、アメリカと正面から交渉することです。それこそ外相としての岡田氏の責任です。

 撤去を求めて交渉するどころか、岡田氏が「国外・県外移設」は総選挙での公約でないというのはとんでもない開き直りです。選挙中「国外・海外移設」を約束したのは民主党の鳩山代表です。当時岡田氏は、幹事長でした。選挙中は代表の発言に異議を唱えず、今ごろになって公約でないというのは言語道断にもほどがあります。

対米追随外交から脱却を

 岡田氏が、沖縄訪問後の記者会見で、対米交渉は前政権の交渉経緯を踏まえたものになるとのべるとともに、「合意が白紙に戻れば、海兵隊の移転も基地の返還も白紙に戻る」と発言したのは重大です。まったく同じ表現で新基地建設受け入れを迫ったのは先日来日したゲーツ米国防長官でした。あまりに強引で配慮に欠ける発言です。

 今求められるのは、自公政権までの日米軍事同盟優先の追随外交を根本から転換することです。鳩山・岡田外交の真価が問われます。



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