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2009年11月16日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

歴史遺産を未来に


「歴史的遺産を残し伝えよう」―佐賀県小城市の「うしづ石工の里を未来に伝える会」と奈良県田原本町の「唐古・鍵遺跡の保存と活用を支援する会」のとりくみを紹介します。


石仏保存 子どもと連携

メンバー多彩 石工の里を伝える会

佐賀・小城市牛津町

地図

 今にも倒れそうになっていた、江戸時代から保存されてきた石仏の、トタン屋根の覆屋(おおいや)が今年2月、瓦屋根に修復されました。「うしづ石工の里を未来に伝える会」(古賀一正代表=85歳=)は、石仏がある佐賀県小城(おぎ)市牛津(うしづ)町砥川(とがわ)の彦山権現を管理している両新村(りょうしんむら)と2〜3年かけて話し合い、共同での改修が実現しました。

版画のカレンダー

 完成した覆屋の前で熱心に石仏の説明を聞く子どもたちがいます。砥川小4年松組の児童たちです。熱心さには、理由があります。石仏のイメージをつかんで、それを版画にして、表紙を含め13枚を組み合わせて翌年のカレンダーを作製します。8日に行われた牛津町の産業まつり「西の浪花の復活祭」では、子どもたちが「来年の石工の里カレンダーはいかがですか」と声をはりあげました。

 この益金を毎年、「うしづ石工の里を未来に伝える会」に募金し、石仏の保存活動が続けられています。彦山権現の石仏の覆屋改修にもこの募金があてられました。

 江戸時代、近くの山から切り出した石を加工する砥川石工の集団が北部九州一帯で活動します。なかでも、平川与四右衛門は、まるで木彫りのように繊細に彫り出し、りっぱな石仏を造りました。

 「石工の里を未来に伝える会」は、300年余の歳月がたち、石仏の風化も見られ、なんとか歴史的な文化遺産を後世に残し、伝えていこうと2002年に13人で発足したボランティア組織です。

 お寺の住職、お宮の宮司、市役所の職員、報道関係者、学校の栄養士、元小学校の校長、主婦など多彩なメンバーがいます。日本共産党の松尾義幸小城市議も発足当時から参加しており、地元のラジオでの石工の里ウオーキングの呼びかけや石仏保存の地元との話し合いなどを担当しています。

 「会」が、最初に取り組んだのが江戸時代からつづく、空山(くうやま)観音33体石仏の覆屋改修でした。募金を集め、町の文化財の補助金を活用して、03年5月に、木造本瓦ぶきに改修されました。いまでは、石工の里のシンボル的存在で、石工の里ウオーキングではかならず案内する名所です。

 今月28日には、今年2回目の2009晩秋石工の里ふれあいウオーキングを計画しています。

コンサートを開き

 9月には、牛津町寺町にある臨済宗南禅寺派の永福寺の本堂で、歌、三線(さんしん)、ギターによる「ななこが」ナイトコンサートが、「石工の里を未来に伝える会」の主催で行われ、90人が参加しました。いまでは、コンサートが待ち遠しいといわれるまでになりました。

 石工の里には永福寺のほかに、常福寺、長勝寺、西光寺の禅宗のお寺があり、住職はいずれも「会」のメンバーで、ウオーキングや座禅会、例会の会場、コンサートなど協力体制ができています。

 8月には、内砥川の公民館で2日間、夏休みの特別プログラムの林間学校を小学生の高学年を対象に開催。6回目を迎えた今回は、ボランティアとして、牛津高校の生徒やフランス、カナダ、アルゼンチン、コスタリカの高校留学生も参加して、国際交流を肌で感じる林間学校でした。(松尾義幸小城市議)


土器で炊飯 「弥生」体験

ボランティアの唐古・鍵支援隊

奈良・田原本町

地図

 奈良県田原本町(たわらもとちょう)にある、弥生時代を代表する環濠(かんごう)集落の唐古(からこ)・鍵(かぎ)遺跡は1999年に国の史跡に指定されました。ボランティア組織の「唐古・鍵遺跡の保存と活用を支援する会」愛称「唐古・鍵支援隊」が活躍しています。今月8日、町の文化祭で「絵画グラス・アート」体験学習が行われました。

絵画グラスアート

 絵画グラスアートとは、ガラスコップに絵画土器に書かれていた絵をデフォルメして彫り込んで行く体験学習です。「きょうは100人ぐらいかな。以前、午前・午後1日した時は240人ぐらい参加されました」と会長の浦田廣志さん。

 「唐古・鍵支援隊」は、田原本町がおこなっている考古学実践講座を受講したメンバーが、「唐古・鍵遺跡等に理解と愛着を深め、保存と活用を支援する」目的で6年前に結成されました。現在約50人が、唐古・鍵考古学ミュージアムと遺跡の案内ボランティア、学校や子ども会の体験学習ボランティアに奮闘しています。

 浦田会長は、「弥生時代のイメージを生かして現代風にアレンジした体験学習を開発しています。モットーは『オンリーワン、ナンバーワン志向』です」。

 独自に開発されたメニューは、「火熾し(ひおこし)体験」「弥生式土器作り体験」「弥生式土器を使った赤米炊飯体験」「勾玉(まがたま)作り体験」「機織り体験」「土笛作り体験」など多彩です。「赤米炊飯体験」は、子どもたちが火を熾し、支援隊が焼いた弥生式土器を使って赤米を炊く体験学習です。

 「あんな土器で炊いたらジャリジャリで食べられないのでは?」という声もありましたが、大変おいしいご飯が炊け、子どもたちにとっても人気があるそうです。火熾し体験では「何であんなところから煙が出てくるんや? 火がつくんや?」という子どもたちの反応が面白い。

子どもたちの宝物

 「子どもたちだけでなく支援隊のメンバーも楽しむよう常に改良開発に努めている」。浦田会長はどこまでも貪欲(どんよく)です。出来上がった絵画グラスや土器は子どもたちの宝物になっています。唐古・鍵遺跡の保存は、約10ヘクタールの用地取得がほぼ完了し、今年から史跡公園の造成が始まります。

 しかし、財政面の問題から、完成は8年後の2017年度の予定です。唐古・鍵考古学ミュージアムには、約800点の遺物が展示されています。そのほとんどがレプリカでなく本物であることが大きな特徴です。「リピーターを増やすためにも支援隊の活動をもっと豊かにしてゆきたい」。会長の熱意はますます盛んです。みなさん、ぜひお越しください。(吉田容工=かつのり=田原本町議)


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