2009年11月16日(月)「しんぶん赤旗」
内需主導で経済発展
APEC首脳会議閉幕
米市場偏重の転換を
世界経済の不均衡解消を言明
【シンガポール=井上歩】21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は15日、内需主導で経済発展を目指す長期成長戦略の策定を盛り込んだ首脳宣言と特別声明を採択し、閉幕しました。
首脳宣言は「危機後の成長に新しい理論的枠組みを構築することが必要」と指摘。米国の消費に過度に依存した「世界経済の不均衡」を解消し、社会が広く恩恵を受け、環境的に持続可能な「長期成長戦略」を来年から導入すると表明しました。
民間需要の拡大などにより長期的な経済力を高め、各国間の発展格差を縮小する世界経済の「均衡化」が必要だと指摘。アジアの新興国や発展途上国から米国への輸出に偏重していた地域の成長モデルを転換させる姿勢を示しました。
各国首脳は、経済成長の恩恵が社会全体に行きわたる「包括的(あまねく広がる)成長」への決意を表明。中小企業支援、雇用創出、女性の社会参画の拡大などを挙げ、雇用を「中心戦略」と位置づけました。
教育・職業訓練の推進や社会セーフティーネットの整備なども約束。同成長のための構造調整・改革を実行すると表明しました。
世界経済の現状については、「回復は足場を固めていない」と指摘。景気刺激策の継続を確認しました。
経済統合では、先進国が2010年までに「自由で開かれた貿易と投資」を実現する「ボゴール目標」を確認。将来の「アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)」構築を探求していくとして、検討開始を決めました。
世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の妥結には「高レベルの政治的合意」が重要だと指摘。交渉加速のため行動する用意があるとし、保護主義の拒否も確認しました。