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2009年10月31日(土)「しんぶん赤旗」

主張

普天間基地撤去

堂々とした交渉で道筋つけよ


 沖縄・宜野湾市の米軍普天間基地を撤去させる問題が、緊迫した局面を迎えています。

 先に来日したゲーツ米国防長官は11月にオバマ大統領が来日するまでに名護市辺野古への新基地建設を認めよと迫りました。鳩山由紀夫首相は「最終的には私自身が決める」といいますが、岡田克也外相や北沢俊美防衛相は普天間基地の「県内たらい回し」を認める発言を重ねています。県民・国民の世論と運動を急速に高め、自公政権の対米追随の姿勢を一変させて本腰を入れて対米交渉するよう強く求めていくことが重要です。

世論踏まえた交渉こそ

 ゲーツ国防長官をはじめ米側が、普天間基地の「たらい回し」を認めた1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意や、2014年までに新基地を建設すると自公政権が約束した2006年の「米軍再編」合意をたてに、日本に実行を迫っているのはまったく不当です。

 現にSACO合意以降13年たつのに、沖縄県民は新基地建設のための杭(くい)一本打たせていません。新基地は普天間基地が宜野湾市民に与えている痛みを名護市民に「たらい回し」にするだけのもので、7割もの県民が反対しています。新基地が建設できなければ米軍基地を返還しないなどというゲーツ長官の発言は、県民世論に対する卑劣な挑戦であり、脅しです。

 岡田外相が「県外(移設)は考えられない」と、いまでさえ騒音などの被害が深刻な嘉手納基地へ統合をいいだし、北沢防衛相が辺野古での新基地建設を「公約違反ではない」というのは、米政府のこの不当などう喝に屈するものです。首相もこうした発言を否定しません。米政府に一喝されれば総選挙公約さえ覆すというのでは、自公政権の対米従属政治と変わらないことになります。

 いま求められるのは、県民・国民の世論に応え、普天間基地を撤去するための対米交渉を、堂々と進めることです。交渉する前から要求を取り下げるというのでは、それは外交の名に値しません。交渉によって、国民の意思に反した不当な合意を改めさせることこそ、外交というべきものです。

 日本共産党の市田忠義書記局長が参議院本会議の代表質問で指摘したように、国民の意思を背景に、外交交渉で米軍基地を撤去させた事例は、世界にはいくつもあります。たとえばフィリピンは91年9月に米軍基地協定が終了した後は基地を置かないという87年憲法にもとづき、基地撤去を米側に提案。米政府は激怒しどう喝しましたが、議会上院が政府の持ち出した基地容認の新協定案を拒否し、1年半余の粘り強い交渉で92年になって完全撤退に追い込みました。

 こうした先例は、国民の願いを受け止め、堂々と交渉する意思があれば、基地撤去の道筋は開かれることを示しています。

基地撤去は県民の権利

 米軍普天間基地は、米軍が沖縄占領後に住民を収容所に入れた間に土地・農地を奪って建設し、それをさらに「銃剣とブルドーザー」で拡大したものです。基地返還を要求するのは当然の権利です。

 沖縄では11月8日「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が開かれます。沖縄に基地は要らないという県民の意思を、突きつけることが重要です。



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