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2009年10月18日(日)「しんぶん赤旗」

「松川事件60年」に全国から

政治的えん罪 教訓を次世代に


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(写真)オープニングセレモニーで、合唱団とともに歌う参加者ら=17日、福島大学

 福島県の東北本線松川―金谷川駅間で1949年、列車が脱線転覆し、労働者20人が犯人にデッチあげられた松川事件から60周年を記念し、事件現場に近い福島市の福島大学で17日、全国集会が開かれました。

 元被告や家族、弁護団、全国各地で運動を支援した1200人の人たちが集まり、第2、第3会場までいっぱいになりました。

 集会実行委員会の大学一福島県松川運動記念会理事長が、「松川運動の原点は、無実の人を殺してはならない、人間として不当なことは許さないという意思の団結。そこをもう一度確認し、次に続く人たちにつないでいこう」と主催者あいさつ。福島大学の今野順夫学長が来賓のあいさつをしました。

 元弁護団の一員で、日本共産党の元衆院議員の松本善明さん(松川運動記念会代表)があいさつ。「松川事件は被告や家族、弁護団、作家を含む多くの国民的な大運動の力で政治的えん罪をはらした国際的にもまれな人権擁護の金字塔です。しかし、3人の乗務員の命を奪ったのはうやむやにはできない。真犯人の究明を政府に求めましょう」とのべました。

 元被告を代表し鈴木信さんが「元被告も6人になりました。私はあと5カ月で90歳になりますが、命ある限り民主的な日本のために奮闘します」とのべると会場は大きな拍手に包まれました。

 このあと福島大学内松川資料室で資料の収集・整理・研究をしている伊部正之名誉教授、元弁護団の主任弁護人を務めた大塚一男弁護士が講演しました。

 集会では、松川裁判の供述調書などの裁判資料を保有している法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁所長があいさつし、歴史教育者協議会委員長の山田朗明治大学教授、高橋哲哉東京大学大学院教授らのメッセージが紹介されました。


 松川事件 1949年8月17日、福島県の東北本線松川―金谷川間で何者かによって夜行列車が脱線転覆させられ、乗務員3人が死亡した事件。国鉄と東芝の労組員20人の犯行だとして、一、二審とも死刑を含む有罪判決がだされました。被告や家族などの無実の訴えに、作家の広津和郎らや広範な人たちが支援にたちあがり、全国的な「松川事件対策協議会」を結成。大衆的裁判闘争といわれる新しい裁判支援運動の典型をつくりました。最終的に63年、全員無罪を勝ち取りました。


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