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2009年10月16日(金)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地計画

県民の願いにこたえ断念せよ


 沖縄県の仲井真弘多知事が、同県名護市辺野古での米軍新基地建設に伴う環境影響評価(アセスメント)準備書に対する意見書を防衛省(沖縄防衛局)に出しました。

 知事は意見書で県内移設容認を改めて示しています。しかし一方で、防衛省が作成したアセス準備書を「机上の予想を超えた影響が懸念される」と批判し、「追加・補足」「再度、精度の高い予測及び根拠の明確な評価」を要求しています。準備書を根本から批判した沖縄県環境影響評価審査会の答申や県民の新基地反対の声が力になっています。

不備だらけの準備書

 意見書は、複数年のジュゴン調査を求めた知事の意見に「十分対応せずに(準備書が)作成」され、「取りまとめや予測、評価の結果も十分とはいえない」と準備書の不備をきびしく指摘しました。県民から「手続きのやり直し」の声がでているとも述べています。

 県民の声を無視した準備書と自公政権下の防衛省の強引なやり方に対する痛烈な批判であることは明らかです。この根本的批判を正面から受け止めずに、形ばかりの修正で、国がアセスの最終段階である評価書づくりに進むことは絶対に許されません。

 意見書は多少の手直しではすまない準備書の問題点を提起しています。たとえば住民に直接苦痛を与える爆音被害です。準備書は米軍機が海上や限られた周辺を飛ぶことを前提にしています。夜間飛行は調査していません。これは現実を無視しています。米軍機が新基地から全方位に飛ぶのは軍事常識です。意見書が、新基地から他の訓練施設への飛行経路も想定した影響調査や夜間飛行の影響調査を求めているのは当然です。

 意見書が普天間基地での最大爆音発生回数を爆音回数の基準にするよう求めているのも重要です。普天間基地では夜間・早朝も含めて1日に最大224回も爆音を記録(2007年5月17日)しているのに、それを基準にしない準備書は、被害を小さくみせるためと批判されても仕方がありません。

 新基地建設が自然環境に与える影響調査もずさんです。とくに絶滅危ぐ種であるジュゴンへの影響調査のずさんさは重大です。ジュゴンの生態は餌場も含めて科学的調査が進んでおらず十分な知見がないのが実情です。わずか1年間の調査で影響がないなどというのでは通用するはずもありません。意見書が求めた辺野古海域を含めた複数年の調査をしないのではアセスの意味を問われます。

 こんなもので新基地計画を進めるなど言語道断です。仲井真知事はきっぱり計画中止を求めるべきで、国は新基地建設を前提にした不当なアセスはやめるべきです。

普天間基地は米本国へ

 米軍新基地計画は普天間基地(宜野湾市)がもっている軍事機能を沖縄県内に維持することを前提にしています。これでは宜野湾市民の「基地の痛み」を県内に移しかえるだけです。沖縄の米軍基地は、第2次大戦後、沖縄を占領した米軍が接収し、「銃剣とブルドーザー」で拡張してきたものです。いつまでも県民が苦しめられるいわれはありません。

 普天間基地を無条件に閉鎖し、米国本土に移転させるとともに、米軍基地の縮小・撤去をめざすことこそ、県民の願いです。



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