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2009年10月12日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

お風呂にHOT

反貧困ボランティア

京都


 毎週土曜の夜10時すぎ、京都市の京都駅八条西口では、路上生活者と青年が仲良く対話する姿が見られます。「日本共産党といっしょに日本をかえるネットワーク」と、日本民主青年同盟京都府委員会の青年たちを中心にしたボランティア団体「反貧困・青年学生ボランティア」による炊き出しの風景です。(遠藤福太郎)


 「反貧困・青年学生ボランティア」(略称「貧ボラ」)は、今年の2月から毎週土曜日、京都駅で炊き出しを行っています。

 路上生活者のために、役立つ行政サービスなどの情報をまとめた27ページにも及ぶ自作のパンフを配布しています。定額給付金を路上生活者にとどける方法を市役所まで調べに行き、実際に路上生活者が定額給付金を受け取る手助けもしました。

 活動に必要な資金や物資などは、活動に賛同してくれる人たちからの支援に頼っています。母親大会などの大きな集会や地域の映画上映会などで活動を紹介し、支援をよびかける活動もしています。

 路上生活者だった栄さん(58)は、「貧ボラ」の支援をうけて、生活保護を受けることができました。

 栄さんは「法律相談や生活相談にのり、親身になって話を聞いてくれるお宅ら(貧ボラ)の活動は正直すごく助かる。実際に生活保護を受けることもできた。おれの知る限り、このようなことをしているのはお宅らの活動だけだ。本当はどこにでもあるべきなんだけどな」と話します。

閉ざした心 信頼でとかす

 青年たちの活動は、一人ひとりの路上生活者の現状を把握し、必要とされているものを具体的に考えることからはじまります。

 ある日のミーティングで、N子さんについて話しあいました。N子さんは炊き出しに来ることのできない路上生活者です。

 ミーティングのなかで「N子さんを『連帯ひろば』に連れて行って、お風呂に入ってもらおう」という提案が出されました。

 「連帯ひろば」は市職労や民医連が中心となっている京都の反貧困のネットワーク組織です。「貧ボラ」の青年たちが活動のなかで聞き取った「お風呂に入れる場所がほしい」との要望をもとに、路上生活者に入浴する機会を毎月提供するなどしています。

 話し合いの結果、青年2人が京都駅でN子さんと待機し、もう1人の青年が「連帯ひろば」のスタッフと共に、車でN子さんを迎えに行くことにしました。

 そして翌日、青年3人がN子さんに声をかけました。

 しかし、N子さんはかたくなに拒みました。青年たちはこれまで、N子さんとの信頼関係を築こうと心がけてきました。それでも、さまざまな経験を通して傷ついたN子さんは、青年たちの思いをすぐに受け入れてくれませんでした。

 青年たちは、せめて服だけでも着替えてもらおうと思い、京都駅のトイレにN子さんを誘いました。

 「貧ボラ」の女性メンバーがN子さんの体をふき、新しい服に着替えてもらいました。N子さんから、これまで見たことのない笑みがこぼれました。

 「貧ボラ」の活動を通して、青年たちは、本当に貧困を根絶するためにどうすればよいかという疑問にぶつかります。

 「貧ボラ」で活動する浩二さん(22)は「活動を通して、路上生活者を一人ひとりなくしていくことの大切さを学びました。『貧ボラ』のような活動が全国各地に広がっていかないとダメだと思います」と語ります。

 青年の自主的な活動は、労働組合や日本共産党の人たちに支えられています。

 「連帯ひろば」実行委員会の南博之さんは「青年と共に反貧困の運動をすすめるなかで、内向きだった若い組合員の意識も、外向きに変化しだしています」といいます。

 記者から一言 戦前から、日本では、大学生による貧困世帯の救済活動として「学生セツルメント」運動が広がりました。「貧ボラ」の活動はその精神をいまに引き継いでいます。深刻な経済危機と格差拡大に直面する現代において、貧困に苦しむ人たちの姿に胸を痛めた青年たちの草の根の取り組みは、多くの人に希望を与えるものだと感じました。

貧困ボラのメールアドレス

kaerunet@kme.biglobe.ne.jp


お悩みHunter

進路変更いまからじゃ遅い?

  大学進学を希望する高校3年です。数学や理科の成績が良くて、2年のときから理系の進学コースに進みました。でも、この夏休み、ある大学のオープンキャンパスで哲学の先生の話を聞き、哲学に強くひかれてしまいました。いまからでは進路希望の変更は無理だと思うのですが、あきらめがつきません。どう考えたらよいでしょうか。(17歳、女性)

好きな分野の発見すばらしい

  実は、理系を選択して大学に進学したものの、文系に転部する人は珍しくありません。

 本来の進路決定は、成績ではなく、生き方や将来やりたいこと、興味・関心などをはっきりさせる中で絞られていくものですが、なかなか難しいようです。

 その意味では、あなたは入学前に大切なことに自分から気付いたのですから、すごいと思いますよ。

 確かに、今から文系に進路を変更するのは厳しいですが、あわてずにじっくり考えてみましょう。

 まず考えてほしいのは「哲学」そのものにひかれたのか、それともその哲学の「先生」にひかれたのかという問題です。

 もちろん「先生」がきっかけでもいいのですが、哲学関係の本を少なくとも数冊読んでから判断してみてはどうでしょうか。

 それでもなお「哲学」を希望するのであれば、とりあえず転部しやすい理系の大学や学部を選択し、入学後に哲学科に転部するのも一つの方法です。

 あるいは、私学なら受験科目が少なく、数学を選べるなど割と柔軟なので、今からでも充分対応できると思います。

 まずは高校や予備校の先生と一緒にリサーチしてください。的確なアドバイスをしてくれると思います。

 いずれにしても、好きな学問分野を発見したのはすばらしいこと。自信を持って作戦を練ってください。きっと成功できますよ。


教育評論家 尾木 直樹さん

 法政大学キャリアデザイン学部教授。中高22年間の教員経験を生かし、調査研究、全国での講演活動等に取り組む。著書多数。



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