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2009年9月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

G20首脳会議

改革の歩みを強めることこそ


 米欧日の先進国や中国、ブラジル、インドなどの新興国が参加する20カ国・地域(G20)の首脳会議が開かれました。昨年11月、今年4月に続いて3度目です。

 G20は金融危機に対応してマクロ経済政策や金融規制などの調整を行う中心的な枠組みとなってきました。新興諸国が世界経済にますます重要な位置を占めるなか、先進国による主要国首脳会議(G8)が世界経済を牛耳る時代が終わりました。今回の会議で、G20はG8に事実上代わって世界経済を議論する枠組みとして、恒久化されることが合意されました。

新自由主義の否定

 この1年、米国発の金融危機が世界経済を土台から揺さぶってきました。

 危機発生の主因は、大資本の利潤追求を最優先させる市場原理一本やりの新自由主義が、米国を震源地に四半世紀以上も世界を席巻してきたことにあります。規制の緩和・撤廃が進められ、あくなき金融投機をあおる「カジノ資本主義」が出現しました。それがバブルを膨張させ、ついには大崩壊を引き起こしたのです。

 危機は構造的であり、一時しのぎの対策でその再発を防ぐことはできません。経済を持続的に発展させるには、ルールある経済への転換が不可欠です。その取り組みは緒についたばかりで、課題は山積しています。

 危機がのどもとをすぎたかのような様相が株価動向などに表れるなか、今回の首脳会議では、転換をめざす政治的勢いを持続できるかが問われました。

 会議の声明は、各国が銀行への税金投入や財政出動に力を入れた結果、現在は「危機から回復にいたる転換期」にあるとの認識を示しました。

 雇用をはじめ実体経済は先進国でも依然として悪化をたどっています。途上国にはさらに深刻な影響が出ており、危機を脱却する道筋はみえていません。

 こうした事態を反映して、声明も「自己満足すべきでない」「回復と修復のプロセスは終わっていない」と表明しています。ただ、対策はすでに示された処方せんの実行にかかるところが大きく、改革の弾みには陰りもみえます。

 新自由主義は各国内でも国際的にも貧富の格差を拡大してきました。新自由主義が破たんしたいま、この点でもその害悪を正す大きな取り組みが必要です。投機の規制や格差の是正、地球温暖化対策の促進など、世界経済の公正な仕組みをさらに追求すべきです。

 国際金融機関の改革に大きな進展が見られないことも見落とせません。国際通貨基金(IMF)や世界銀行は、途上国に新自由主義を押し付けたことから強い批判を浴びました。その改革は公正な世界経済にとって不可欠です。

民主化が課題に

 声明はこれら国際金融機関への途上国の発言権を、出資割り当ての変更などによって拡大するとしているものの、米国と先進国中心の従来の枠組みを大きく変えるものにはなっていません。

 これらで前進するには、世界経済を左右する意思決定のあり方をいっそう民主化することが課題になります。G8からG20への拡大にとどまらず、重債務国をはじめ途上国の声が反映する枠組みがいっそう必要です。


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