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2009年9月24日(木)「しんぶん赤旗」

三沢F16撤収・嘉手納F15一部削減

“米、日本側に打診”報道

地元自治体は歓迎と警戒


 米政府が米空軍三沢基地(青森県三沢市)のF16戦闘機すべての撤収と米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)のF15戦闘機の一部削減を日本側に打診していたという報道が波紋を広げています。米軍の準機関紙も「日米間で米軍戦闘機の再編が議論されている」と報じており、行方が注目されます。


 問題の報道は共同通信が行ったもの(11日)で、沖縄や青森の地元紙が大きく報じました。米政府が今年4月、(1)三沢基地に配備しているF16約40機すべてを早ければ年内から撤収させる(2)嘉手納基地配備のF15約50機の一部を削減する―という構想を日本政府(自公政権)に打診したという内容です。

議論の一環

 自公政権側は、現在の米軍配置を前提にして合意した在日米軍再編計画への影響などを懸念し、いずれの構想にも難色を示して保留状態になっているとしています。

 これに関し防衛省の中江公人事務次官は14日の記者会見で「米側から報道にあるような提案が正式になされたことはなく、その内容について具体的な検討がなされていることはない」と述べ、「正式な提案」については否定しました。

 一方で、記者から「非公式な話は」と問われ、「在日米軍の態勢については日ごろからさまざまな機会に日米間で議論を行っている。その詳細な内容については事柄の性質上、また相手のある話でもあり、答えることは控えさせていただきたい」と述べ、明確には否定しませんでした。

 また、三沢基地からのF16撤退について「部隊の撤退ということであれば、日米安保条約第6条の実施に関する交換公文にいう事前協議の対象とはならない」との認識も示しました。

 さらに、米軍準機関紙「星条旗」16日付(電子版)は「日本から米戦闘機を撤退させる可能性について日米の当局者が議論していると、複数の米軍当局者が認めた」と報道。一方で「さらなる詳細については日米がさまざまな問題について行っている議論の一環であるとして、明らかにしなかった」としました。

 こうした動きに対し基地周辺の自治体では、歓迎と警戒両面の声が上がっています。

交代配備か

 三沢市の種市一正市長は14日、事実確認のため急きょ上京し、外務・防衛両省の担当幹部と面会。嘉手納基地周辺自治体の首長らは「地元の負担軽減になる」としつつも「別の機種が配備されるのであれば賛成できない」との態度を示しています。

 専門家の間では、朝鮮半島から中東までアジア全域への重要な出撃拠点である三沢基地を米軍が簡単に手放すことは考えられないという見方や、F16撤収後はF35次世代戦闘機がローテーション(交代)配備される可能性があるといった指摘もあります。

 今後の動向は流動的であり、地元住民に大きな負担を強いる戦闘機部隊の削減・撤去のためには世論と運動がなにより大切です。(榎本好孝)



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