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2009年9月23日(水)「しんぶん赤旗」

主張

新型インフル拡大

本格化する流行に対策尽くせ


 大都市部を中心にインフルエンザの感染者が急速に増えており、休校や学級閉鎖をする保育所や小中高校も急増しています。ほとんどが新型インフルエンザによるものとみられています。

 新型インフルエンザは、本格的な流行期を迎えています。感染の広がりを抑え、必要な治療をおこなえるように、考えられる限りの対策を尽くすことが必要です。

予想しない事態が続く

 なにより重要なのは、新型インフルエンザは症状が軽そうだとか、基礎疾患がなければ大丈夫だなどと決め付けず、念には念を入れて対策を進めることです。

 日本感染症学会は緊急提言で、新型インフルエンザは季節性のインフルエンザにくらべ、「決して軽症とは言えません」と警告しています。急速、大量に患者が発生し、重症化すれば死に至るという最悪の事態を考えて、対策を総動員することが不可欠です。

 新型インフルエンザは、これまでほとんどの人が体験したことのない、いわば“未知”の病気です。どんな症状がどう起きるのか、すべてがわかっているわけではありません。これまでも予想と違う事態が次々発生しています。

 季節性のインフルエンザなら流行しにくいといわれる夏場に、しかも暑い沖縄から感染が広がったこともそのひとつです。理由はよくわかりません。免疫がないので、感染が急速に広がることだけは間違いありません。

 新型インフルエンザに対応したワクチンの開発も、これまでのやり方では計画通り国内生産できないことが明らかになりました。ワクチンには重症化を防ぐ効果がありますが、接種が行き渡らない可能性や、新型インフルエンザへの有効性や安全性の点で不確実さが残ります。副作用の懸念もあり、ワクチンだけに頼らない予防や治療の対策が重要です。

 新型インフルエンザは、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患がある場合は重症化しやすいといわれ、実際、基礎疾患のある人の重症化や死亡が相次いでいます。しかし基礎疾患のない人からも死亡例が出ています。基礎疾患がないからと、安心はできません。

 治療にはタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬を早めに処方すれば重症化しないといわれますが、効かないケースもでています。

 感染症学会は感染が疑われる段階からの投与をすすめています。しかし副作用を心配する声もあり、専門家の間でも議論が分かれています。これも“タミフル頼み”だけにはしないで、高熱や肺炎などの合併症を防ぐ、さまざまな治療手段を総動員することが不可欠です。

必要な医療体制の整備を

 本格的な流行期を迎えて、なにより懸念されるのは、可能な限りの手段を総動員できる、医療体制の不足です。

 新型インフルエンザが重症化すればインフルエンザ脳症を起こし、肺の機能が低下して呼吸が困難になります。最悪の事態を避けるためには、専門の病床や人工呼吸器などの設備が必要です。医療体制の整備は何をさておいてもおこなうべきです。

 なによりも重要なのは人命を守ることです。一人ひとりの予防の努力とともに、いまこそ政治の力が求められます。


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