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2009年9月22日(火)「しんぶん赤旗」

水俣病

救済対象外に被害

不知火海沿岸住民 大検診で判明


 熊本・鹿児島両県にまたがる不知火海(八代海)沿岸の地域住民大検診で21日、水俣病患者救済対象外の住民にも被害が広がっている一端が明らかになりました。検診の全日程終了後、「不知火海沿岸住民健康調査実行委員会」(原田正純実行委員長・熊本学園大学教授)が記者会見で発表しました。

 実行委員会によると、検診では1969年以降に生まれた27人が受診。うち少なくとも2人に「感覚障害の所見がみられた」としました。

 また、医療費が無料となる保健手帳の対象地域外に居住する人にも「水俣病の疑い」があるとの診断書が出されました。

 国はこれまで水俣病の全体像をつかむ調査を行っていません。にもかかわらず、加害企業・チッソが有機水銀を含む排水を停止した69年以降に生まれた住民に「新たな水俣病の発生はない」としています。また、公害健康被害補償法(公健法)で公害指定地域を鹿児島県出水市(一部地域を除く)、熊本県水俣市、芦北町、津奈木町としています。そのほかに、保健手帳の交付対象地域も決めています。

 今回の調査では地域、年代のどちらも実態との矛盾が実証された形となりました。

 原田実行委員長は「こういう(水俣病の実態を明らかにする)調査を何でボランティアがしなければいけないのか。何年も前に国がすべきこと。できることを自ら考えないといけない」と語りました。

 大検診は8市町計17カ所で140人の医師や220人の看護師を含む計650人の態勢で行われ、1051人が受診しました。



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