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2009年9月19日(土)「しんぶん赤旗」

主張

「新政権への要望」

財界は自覚も反省もないのか


 政権交代で発足した鳩山由紀夫政権に、財界団体の日本経団連や経済同友会などの、要望が相次いでいます。

 見過ごせないのはその中身が「改革を後戻りさせることなく」(日本経団連)、「責任ある政権運営を」(経済同友会)などと、これまで財界が自公政権に求めてきた「構造改革」路線を続けるよう求めるものになっていることです。財界には、応援してきた自公政権が、国民の審判で退場したことへの自覚はないのか。財界が求めてきた「構造改革」路線が暮らしと経済を破たんさせたことへの反省はないのか。

大企業のもうけのため

 「改革」の継続を求める財界が新政権に要望しているのは、「民間活力の発揮を促す規制改革」や「民間開放」、「産業の国際競争力の強化」「雇用・就労の多様化の推進」などです。一言でいえば、大企業のもうけをもっと増やす対策をとれということです。

 国民が強く求め、新政権が取り組もうとしている労働者派遣法の抜本改正や、温室効果ガスの排出削減目標を25%に引き上げることなどには反対です。いろいろ理由はあげていますが、要は大企業のもうけを減らすことには反対ということに尽きます。

 日本経団連は、「消費税を含む税制抜本改革」で「財政健全化」をと、国民に負担を押し付けることも求めています。経済同友会も、「歳出・歳入一体改革」などの「財政健全化」を、「責任ある政策」の中心にすえています。

 財界は自民党政治のもとで政・財・官の「トライアングル(三角形)」といわれた癒着構造の一角を占めてきました。直接・間接の要望や審議会などを通じて政策を左右し、企業・団体献金や「天下り」の受け入れなどで政官界を支配しました。自公政権が退場すればこんどは新政権に同じように注文するというのは、あまりに無責任で通用するものではありません。

 だいたい自公政権が退場したのは、長年にわたった大企業中心の政治が批判されたためです。とりわけ自公政権が進めた「構造改革」路線は大企業のもうけを増やすだけで、国民の暮らしも中小企業も、農業も疲弊させました。「規制緩和」は、大企業のもうけ口は増やしても、国民にとっては使い捨て自由の「非正規」雇用の急増など、弱肉強食の経済をはびこらせています。「小さな政府」の押し付けも、福祉を後退させ、最低限度の生活保障さえ困難にしています。

 最近OECD(経済協力開発機構)が発表した報告も、日本では「非正規」の労働者の比率が高く、「労働者の貧困が顕著になっている」と警告しました。「構造改革」路線がこれほど国民の暮らしをズタズタにしているのに、まだその「継続」を求める財界の態度は、大企業さえもうかれば“あとは野となれ山となれ”式の、身勝手このうえないものです。

国民のたたかいで阻止を

 日本経団連などの要望が、経済政策だけでなく、「道州制の導入」や「安全保障の推進」「憲法改正」まで求めているのは論外です。

 日本の進路を決めるのは主権者である国民です。国民が自公政権を退場させたのに、まだ国民が望んでもいない政策を押し付け続ける財界の策動は、国民のたたかいで阻止するしかないものです。


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