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2009年9月17日(木)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が16日、国会議員団総会でおこなったあいさつは以下の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=16日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます。

 新しい歴史のページを開く国会がはじまりました。特別国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

 まず、総選挙でのみなさんの大奮闘に心からの敬意を申し上げます。それから新しく宮本岳志さんをわが議員団に迎えることになりましたが、心から歓迎したいと思います。(拍手)

 総選挙の結果をどうみるか、そして新しい政治局面のもとで「建設的野党」として日本共産党が果たすべき仕事については、先日の党創立記念講演でお話ししました。今日は、それを踏まえて、この仕事の先頭にたつ国会議員団の基本姿勢について、話したいと思います。

新しい政党関係と「建設的野党」としての役割

 今度の選挙で生まれた政党関係というのは、歴史上かつてない新しい政党関係であり、まずその特徴をしっかりつかんで奮闘する必要があります。

 すなわち、自公政権が退場し、民主党中心の政権ができるもとで、国会における日本共産党の位置が大きく変化し、国会論戦で果たす私たちの役割も大きく変化しているということをしっかりつかんで、新しい状況にふさわしいとりくみが大切であります。

 これまで、野党だった諸党のうち、民主党、社民党、国民新党は与党になったわけですから、国会の対応も与党としての対応となり、質問も与党としての質問となるでしょう。ここには、新しい特徴もでてくるでしょうけれども、与党としての限界もそこにはあります。

 一方、これまで与党だった自民党と公明党はどうなるか。今度は野党ということになるわけですが、この諸党には国民の利益にたった前向きの対応や質問をしようとするとなれば、みずからのこれまでの立場が問われてくることになるわけです。すなわち、みずからのこれまでの行動に対する根本的反省がなければ、前向きの対応や質問はできないでしょう。反省ぬきでは後ろ向きの対応にならざるをえないでしょう。

 たとえば、後期高齢者医療制度を撤廃するという課題一つとっても、それをすすめてきたのは自民、公明ですから、それに対する抜本的な反省がなければ、前向きな対応はできないということになってくるわけです。

 ですから、財界から自民党に対して「『建設的野党』になるべきだ」という注文がでていますけれども、なかなかそう簡単になれるものではないのです。

 そういう政党状況のなかで、どんな問題でも、国民の利益にたち、政治を前向きに動かす活動をおこない、間違った動きにはきっぱり反対し、さらにどんな問題でも、よりすすんだ改革の方向を示す、こういう「建設的野党」としての役割を果たせる政党は、日本共産党をおいてほかにありません。これが、総選挙の結果、生まれた新しい政党関係であるわけです。

 そこに私たちの大きな役割と責任があるということをお互いに自覚して、がんばろうではありませんか。(拍手)

国民の期待にこたえる「新しい挑戦」「新しい探求」を

 それでは、私たちが相手にする民主党中心の政権は、どういう政権かということでありますが、私は記念講演のなかで「過渡的な性格をもつ政権」といいました。すなわち、民主党中心の政権には、「財界中心」「日米軍事同盟中心」という、従来の政治の古い枠組みから抜け出すという立場はいまのところ見られませんし、国民の利益に反する問題点も少なくありませんが、国民の要求を反映したさまざまな政策を掲げているのも事実です。「過渡的」といったのは、そういう意味であります。

 この「過渡」が前に向かってすすむのか、それとも後ろに戻ってしまう一時的なものになるのか、それを決めるのは国民の世論であり、たたかいであり、そして日本共産党がこの新しい政治局面でどれだけがんばれるかにかかっている。その意味でも、私たちの責任は非常に重いということを強調したいと思います。

 私は、記念講演で、わが党が「建設的野党」としての仕事をすすめるためには、従来の延長線上ではない「新しい探求」「新しい挑戦」が必要になると話しました。今日は、国会議員団が、この仕事にどういう姿勢でとりくむかについて、お互いに努力してとりくみたいことを3点ほど話したいと思います。

よりすすんだ視点で、「事に通じる努力」をとことんおこなう         

 第一は、国会論戦では、これまでに増して高い力量が求められるということを、肝に銘じてがんばる必要があります。

 「建設的野党」として「良いものには協力する」「悪いものには反対する」「問題点をただす」、こういう仕事を実際に果たすためには、わが党が、どんな問題についても、政府・与党よりも、さらにすすんだ視点をもってとりくむ必要があります。そうしてこそ、現実に政治をリードする仕事ができるわけです。

 そして、そういう仕事をやろうとすれば、どんな問題においても、政府・与党よりも「事に通じる努力」をとことんおこなって、自分のものにして質問にのぞむことが必要です。そういう議員団に成長するための努力が、いままで以上に強く求められると思います。

 政府・与党が、国民の利益からみてまともな方向に踏み出すという場面が、個々には、いろいろと生まれてくるでしょう。そのさいに、もちろん私たちは、問題点や矛盾点などについては修正を求め、より良くする努力はするわけですが、そうした努力の仕方は、よく考える必要があると思います。

 すなわち、わが党の基本的立場から見て、「ここが足らない」ということを述べるだけでは、国民から見て説得力がないということにもなります。日本共産党は、どんな問題でも“本気で政治を前に動かすためにがんばっている”、どんな問題でも“国民にとってより良いものにするために、本当に知恵と力を尽くしている”というふうに国民に受け取ってもらえるような活動をやってこそ、私たちの立場がよく理解されるし、真価が発揮できることになると思います。

 先日、鳩山(由紀夫民主党)代表との党首会談をおこないました。そこで私たちの「建設的野党」の立場を先方に伝えたわけですけれども、いくつかの重要な一致点が出てくるわけです。

 核兵器の密約問題については、調査をして明らかにするという点で一致がえられました。これはたいへんうれしいことです。そういう一致がえられた以上は、私たちとしては、その調査について必要な協力は惜しまずやるという立場が必要になってくると考えまして、私たちは、わが党の手元にある密約関係の資料は先方に渡すという措置をとりました。密約問題については、わが党は、かねてから国会で系統的に追及してかなりの蓄積があるわけですから、そういう蓄積を大いに生かして、調査すると言明した以上は、ぜひそれを実らせるために、あらゆる協力をおこなって実際に事を動かすというとりくみをすすめたいと思います。

 それから、温室効果ガスの中期削減目標を「25%削減」とするという言明を鳩山代表がしたわけです。これは麻生前内閣に比べて積極的な目標といえるわけです。ですから私は、党首会談でこれを歓迎するということを申しましたし、歓迎するだけではなくて、実際にこれを実行する上で、抵抗する勢力が出てくる。まずは財界です。そういう抵抗勢力が「国民負担が重くなる」などいろいろな理屈を並べてくる。そういうものに対しては、私たちは徹底的に間違いを明らかにしていく論陣をどんどんはっていくつもりだというふうに党首会談でも言いましたし、すでに「しんぶん赤旗」ではそういうキャンペーンを始めています。

 さらに、実際に「25%削減」を達成しようとしたら、排出権取引も当然必要になってきますけれど、産業界との公的協定というものがどうしても必要になります。ですからこういうことが必要になってきますよということで知恵と力を尽くして、現実の政治を前に動かすということが必要になるわけです。

 日米核密約、温暖化問題、いろいろな問題で前向きな変化が起こったときに、さらにそれを現実に実らせようと対応する場合は、どの問題でもわが党が事に通じている必要があるわけです。そういう力を持ってこそ、相手に対して働きかけて、前に動かすことができるわけです。そういう力を身につけることが必要です。そうした協力をすすめながら、どしどし意見を言っていく。問題点や矛盾点についてはきちんと修正を提起する。こういう態度が必要だと思います。

 こういう仕事をすすめていくためには、よほど私たちもお互いに努力が必要だし、そういう「新しい挑戦」、「新しい探求」を、大いに意欲的にやろうではないかということを、私は呼びかけたいと思います。(拍手)

草の根の運動との共同で政治を前に動かす

 第二に、日本共産党の特徴というのは、どんな問題でも草の根のとりくみとの共同、国民運動との共同で政治を動かすというところにあります。これがわが党ならではの特長であり、わが党議員団の一番の特長の一つであります。国会に寄せられる請願数などでも、わが党は断トツの1位です。この力が、「建設的野党」として仕事をやっていく場合の一番のよりどころになります。

 たとえば具体的に考えますと、労働者派遣法の抜本改正という問題が提起されている。これに対して、もちろん私たちはより良くするための修正点なども提起していくわけですけれども、財界の側は与党3党(民主、社民、国民新)案に対しても認められないという抵抗の声をあげているわけです。ですからこれは大闘争が必要になってくるわけです。

 それから、後期高齢者医療制度を撤廃するという課題をはじめ、小泉改革によって破壊された社会保障のいろいろな傷跡をもとにもどしていくという仕事も、この悪政を推進した勢力は反対するでしょう。ですからそういう勢力とたたかって、一つひとつを実現しようと思ったら、どの分野でも国民との連携が必要になってきます。

 もう一点あげますと、米軍基地問題では、民主党中心の政権自身の方針が、まだ不明確だったり、矛盾点があったり、問題点があったりします。基地のない沖縄、基地のない日本にすすむうえで、いろいろな問題点を、新政権の側自体が持っているだけに、ここはたたかいがなかったら前にすすみません。

 私は、全国津々浦々に党組織をもち、広範な国民運動の諸組織と連帯してたたかっている日本共産党の役割は、新しい局面で政治を前にすすめるうえで決定的だということを強調したいと思います。

綱領の立場にたった抜本的打開策を新鮮に打ち出す努力を

 第三にのべたいのは、どんな問題でも、綱領の立場に立った、わが党ならではの抜本的な打開策を打ち出す際に、それを情勢の進展にそくして新鮮に打ち出す努力をお互いにはかりたいということです。

 新政権になって、政治の大きな枠組みでの変化までは今のところはいかないにせよ、いろいろな変化が起こってくるわけです。いろいろな変化が起こってくるなかで、私たちがこれまで掲げてきた綱領的な諸課題の打ち出し方も、工夫をして新鮮に打ち出すことが大切になってくると思います。

 たとえば日米安保条約を廃棄するという綱領上の最大の課題があります。この日米安保条約廃棄という問題を、ただ“日米安保廃棄”といっているだけで国民の理解が得られるかというと、そう簡単にいかない状況もあります。北朝鮮の問題をどうするんだという問題がすぐ出てくるわけですね。そういうもとで、記念講演では「憲法9条を生かした平和外交によって、世界とアジアの平和的環境を築きながら、日米安保条約解消の国民的合意をつくる」とのべました。

 とくに北東アジアの平和的環境をどう築くか。北朝鮮の核兵器の問題をどう解決するのか。あるいは地球的規模での核兵器廃絶をどうすすめるか。そういう点での平和外交の方向を積極的にどんどん打ち出していく。世界とアジアの平和的環境を築くための努力とあわせて、それと同時並行で、安保体制そのものの危険性を明らかにして、日米安保条約廃棄の国民的多数派をつくっていくという仕事をやっていく必要があるわけです。

 ですから、一つひとつの綱領的な大きなテーマを打ち出す場合にも、政治の大きな変化がはじまりつつあり、そして国民の多数が自公政治にかわる新しい政治とは何なのかを本格的にいま考え出している、そういうプロセスが始まっているなかで、日本共産党の太い綱領的な課題をどう国民の合意にしていくかというのは、一つひとつについて、新鮮な、これまでの延長線ではない努力が、どんな問題でも必要になってきます。「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府をめざして、ぜひそういう努力をお互いにはかりたいと思います。

 自公政権退場後の日本の政治は、いろいろな過渡的なプロセスがあるでしょう。曲折もあるでしょう。ときには逆行もあるでしょう。しかし、全体としては新しい政治を国民が本格的に探求するプロセスが始まった。これは新しい歴史の始まりであって、「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府に連なる、一つの歴史的な新しい時代が始まったという認識をもって、私たちは知恵と力を尽くして奮闘する必要があります。

 私たちが追求する国民的合意の中心になるのは、「財界中心」の政治から脱することと、「日米軍事同盟中心」の政治から脱すること、この「二つの政治悪」から脱して、「国民が主人公」の日本をつくろうと、この合意をつくることにあるわけですが、その合意をつくるうえでは、いまいったような新鮮な努力をお互いに大いにすすめていきたいと思います。

 そういう大きな抱負をもってがんばりましょう。本当にたたかいがいのある新しい政治局面になり、たたかいがいのある新しい国会になったと思います。ぜひ知恵と力を尽くして、衆議院と参議院で16名でありますけれども、力をあわせて国民の期待にこたえる立派な仕事をやりましょう。そして新しい国会での日本共産党の仕事ぶりを国民のみなさんにみてもらって、この党をさらに大きく伸ばさないといけないと、参議院選挙、そして次の総選挙で、国民のみなさんにそう思ってもらえるような大奮闘をお互いにやっていきたいということをのべ、私もみなさんと一緒に知恵と力を尽くして、「新しい挑戦」と「新しい探求」にとりくむということを申し上げて、ごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)



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