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2009年9月15日(火)「しんぶん赤旗」

自殺者相次ぐフランステレコム

非情な配置転換やめよ

労組がスト 一時凍結させる


 フランスの電気通信大手フランステレコムで労働者の自殺が相次ぎ、労働者を犠牲にしながら利潤追求優先に走っている同社の経営体質に批判が上がっています。労組が追及に立ち上がり、配置転換の一時凍結などを会社側に約束させました。政府も対策に腰を上げています。(山田芳進)


22人が死亡

 同社では11日にも女性社員が自殺。労組のウェブサイトによると、自殺者の数は2008年の年初から22人となりました。未遂者も13人に上っています。

 9日には、地方都市の技術労働者が職場での打ち合わせ中に自分の体にナイフを突き刺すという事件が起きました。この労働者は、給料の低い別のポストへの配転を命じられたばかりでした。

 組合側はこれまでも、退職に追い込む会社のリストラ計画の一環として非人間的な配置転換やポストの廃止を行っていると指摘、計画の中止を要求してきました。自殺した1人は、自殺の理由を仕事だと明確に述べた遺書を残しています。

 組合側の批判に対し、経営側は「リストラの数値目標はない」「従業員の自殺は、家族にとって悲劇だが、数として増えているわけではない」「われわれは、顧客のサービス向上の要求に常に応えなければならない」などと、責任を回避する態度でした(労働対策責任者のインタビュー、ユマニテ紙10日付)。

 全国組合6組織は10日、統一行動を呼びかけ、労働総同盟(CGT)などはストを実施しました。

 このため経営側も対応を迫られ、10日開かれた各労働組合の代表でつくる衛生・保健・労働条件全国委員会の場に、経営側の人事担当者が出席しました。

 人事担当者はこの場で、▽配置転換の10月末までの凍結▽職場ストレスに関する協議を18日に開催する▽労働相談ポストの増設▽産業医の新規採用―などを約束しました。

団結の結果

 CGTは11日、この成果を労働者の団結の結果だと歓迎する声明を発表。労使協議で職場環境の改善を実現するため、運動の継続を呼びかけています。

 仏政府はダルコス労相が経営側と近く会談することを明らかにするとともに、ラガルド経済・産業・雇用相も13日、経営側が問題解決のために「早急に(会社の)理事会を開く」よう呼びかけました。


 フランステレコム フランスの代表的電気通信会社。国営企業から1991年の公社化を経て96年に民営化。98年の欧州連合(EU)の通信市場完全自由化後、海外市場参入を推進。世界で第4位の携帯電話事業者に。従業員は仏国内で10万6千人、世界で約18万7千人。



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