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2009年9月13日(日)「しんぶん赤旗」

宮城“税金取り立て機構”

勤め先倒産でも病人いても容赦なし

共産党「法的根拠なし、解散せよ」


 宮城県は、地方税の滞納者に取り立てをする宮城県地方税滞納整理機構を今年の4月に要綱にもとづいて発足させました。払える状況にない滞納者からサラ金なみの取り立てをするやり方に怒りの声があがっています。(宮城県 川村美知男)


 整理機構は、基本方針の第一に「徴収困難事案の厳正な滞納整理を進める」とし、自治体から1年間に1000件の事案を引き継ぎ、滞納整理や差し押さえ物件をインターネット公売にかけるなどして滞納額の25%の徴収を図るとしています。

 すでに920件が市と町から整理機構に移管されており、そのうち数百件に差し押さえ通知を出しています。

 日本共産党県議団には、整理機構による有無を言わせず人権を無視した取り立てにあっている住民から、深刻な相談が次々舞い込んでいます。

 利府町のOさんは、2005年に勤務先が倒産し、仕事がなかった2年間の国保税と住民税を滞納しました。

 町からは、滞納の納付を迫られ、Oさんは、毎月1000円でも3000円でも納めますから、割賦をくださいとお願いしていましたが、割賦は発行されませんでした。

 今年の8月に入り、整理機構から1週間後に納付がなければ差し押さえをしますと通知が届けられました。一方で整理機構は、総務部地方税徴収対策室長名でOさんの勤務する会社の岡山県にある本社に、給与の支払い状況と振込先、差し押さえの有無を問い合わせる文書を、本人に何の相談もないまま送りつけていました。

 本人を交えた日本共産党県議団と整理機構との交渉で、整理機構は、なぜOさんが滞納になったのかの事情を全く掌握していないことが判明。割賦を拒否した理由について、整理機構は、延滞金分だけで滞納分に届かないからと回答しました。

 石巻市のAさんは、精神病で通院している妻と肺血栓で一命を取り留めたものの、精神的に不安定になって通院している息子がいるので、自宅に来て差し押さえをされると取り返しのつかない事態が予想されるので、相談に行きたいと市に伝えていました。

 整理機構にも同様のお願いをしました。しかし、整理機構は、「滞納処理のための調査を目的に自宅を訪問する」と答え、聞き入れられませんでした。

 日本共産党県議団が入った話し合いによって、整理機構は、この2人に対しては対応を改めました。しかし、日本共産党に相談している人はほんのわずかにすぎません。

 横田有史県議団長は、「整理機構の対応の根底には、滞納はすべて悪質者だとする考えがある。税金の徴収や滞納処理は、『公権力の行使』であり、法律や条例にもとづかない機構には、全く権限がありません。機構に移管された事案はすべて市町に戻し、機構はただちに解散すべきだ。大企業には大盤振る舞いをしながら、県民にこんな仕打ちをする県政は許せない」とし、15日(午後1時)の県議会の一般質問で徹底して追及すると語っています。


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