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2009年9月5日(土)「しんぶん赤旗」

就任前にトップ会談 メディアが関心

民主中心の新政権

米で異例の反応相次ぐ


 3日未明、オバマ米大統領が、まだ政権に就いていない民主党の鳩山由紀夫代表に異例の電話会談を申し入れ、約10分間の「鳩山・オバマ会談」が実現しました。同日午後にはルース駐日米大使が民主党本部を訪問。鳩山氏は双方の会談で「日米同盟は日本外交の基軸」であることを確認しています。

 一方、米本土では、鳩山氏が月刊誌『Voice』9月号に寄稿した論文で、「イラク戦争の失敗と金融危機によってアメリカ主導のグローバリズムの時代は終焉(しゅうえん)し、世界はアメリカ一極支配の時代から多極化の時代に向かうだろう」などと述べたことについて、“反米的”とみなすメディアの論調が相次ぎました。

 米紙ワシントン・ポストは1日付社説で「鳩山は、アジア寄りの外交政策を模索し、米国民を『市場原理主義』だと非難している」「日本が米国と決裂を模索するのは危険だ」と述べています。

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 このような反応の背景について、名古屋大学大学院の春名幹男教授は、「どちらも日本の新政権に対する米側の高い関心の表れ」であると指摘します。

 「電話会談は、圧倒的多数の支持を得て誕生した新政権に対して、いいかげんには対応できないというオバマ政権の意思表示。メディアについては、鳩山氏の考え方を調べるうちに『Voice』に行き着き、それが恣意(しい)的に翻訳された結果、あのような反応になったのではないか」

 民主党本部には、ルース氏と前後して藪中三十二外務事務次官も訪問しています。鳩山氏が「日米同盟重視」を繰り返し表明したことで、外務省内には安堵(あんど)の声が相次ぎました。

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 問題は、民主党が政権公約に掲げている「緊密で対等な日米関係」の内容です。

 従属的な関係から脱却し、対等な日米関係を築くことは多くの国民の願いですが、「対等」の内容については民主党内でもさまざまな見解があります。前原誠司副代表は3日のNHK番組で、北朝鮮による弾道ミサイルの脅威などを挙げて、日本の軍事的分担を高めるよう主張しました。

 ジェラルド・カーティス米コロンビア大教授は8月31日に都内で行った講演で、「軍事分野での日米の“対等”性を強調すれば、米国内で『安保ただ乗り』論が高まり、軍事的分担の拡大を求められるだけだ。地球環境や感染症拡大防止など、軍事以外の分野で日米が協力できる課題を自ら提起していくべきだ」と指摘しました。(竹下岳)



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