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2009年9月2日(水)「しんぶん赤旗」

消費者庁スタート


 製品事故や食品偽装など各省庁でばらばらに対応していた消費者行政を一元化する消費者庁が1日、発足しました。全く新しい中央官庁の創設は1971年の環境庁(当時)以来38年ぶり。

 民間有識者で構成する監視機関「消費者委員会」の第1回会合も開かれ、同委員会も活動を開始しました。

 消費者庁は、冷凍ギョーザの中毒被害や食品の産地偽装をはじめ、湯沸かし器やエレベーター事故など、消費者の安全が脅かされる事件が相次ぐなか、長年の消費者運動と国民の声を受けてつくられたもの。

 初代長官には元内閣府事務次官の内田俊一氏が就任。消費者庁の職員約200人は、内閣府、経済産業省、厚生労働省、農林水産省などの消費者行政部門から構成しました。民主党は内田氏が官僚出身者であることなどから、長官人事に異論を唱えており、新政権の姿勢によっては、今後、流動的な面が残されています。

 また、麻生太郎首相の意向で発足が前倒しされたため、準備不足の船出となりました。

 消費者委員会は9人の委員でスタートし、委員長には松本恒雄氏(一橋大学法科大学院長)が選出されました。他の委員は次の通り。

 池田弘一・アサヒビール会長▽川戸恵子・ジャーナリスト▽佐野真理子・主婦連合会事務局長▽下谷内冨士子・全国消費生活相談員協会顧問▽田島真・実践女子大教授▽中村雅人・弁護士▽桜井敬子・学習院大教授▽日和佐信子・雪印乳業社外取締役


共産党 機能果たすため尽力

 消費者庁設置関連法が全会一致(5月29日、参院本会議)で成立するまでには、90時間におよぶ審議と修正協議が行われました。

 日本共産党は、「各会派が知恵を持ち寄って、本当に消費者の立場で機能する法律に仕上げていくことが重要だ」(吉井英勝衆院議員)と一貫して主張し、消費者の立場で審議をリードしました。

 地方の消費者行政を支える消費生活相談員の処遇改善では、政府案、民主案とも「自治事務には国は補助できない」という前提に縛られて妥協点が見いだせないなか、「自治事務でも人件費を出している例はある」との吉井議員の指摘がきっかけとなり、国のお金の使い方の道を広げる共同修正が実現しました。

 参院では、大門実紀史議員が、パロマガス器具事故とシンドラー社のエレベーター事故で息子を亡くした2人の母親の手紙を麻生太郎首相に対して読み上げ、国民の声を届ける役割を果たしました。

 衆参両院には、消費者問題特別委員会が恒常的な委員会として設置されました。日本共産党は、国会による消費者行政のチェックの場が必要だと一貫して主張していました。

 1日の記者会見で、内田消費者庁長官と松本恒雄消費者委員会委員長は、地方の消費生活相談員の体制強化・財政支援を課題にあげました。

 消費者庁と消費者委員会が、消費者の利益と権利を守る機能と役割を果たしていくことができるように、国民の監視と運動が重要となっています。(鎌塚由美)

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