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2009年8月25日(火)「しんぶん赤旗」

NHK衆院選特集

小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は、23日夜のNHKの衆院選挙特集番組(司会・島田敏男NHK解説委員)に出演し、各党政策責任者と討論しました。


 番組冒頭、有権者は何を期待しているかを問われ、各党が「景気回復」「社会保障」などと答えるなか、小池氏は「国民が何より求めているのは、自民、公明の政治を終わりにすることだ」とズバリ指摘しました。

景気

大企業の応援でなく家計・中小企業の応援こそ

 景気回復の問題について自民党の石原伸晃幹事長代理は「GDP(国内総生産)の実質成長率が1年3カ月ぶりにプラスに転じた」、公明党の山口那津男政調会長は「(経済対策を)順序だててやってきた」などと発言。

 小池氏は、GDPは前年同時期に比べると6・4%のマイナスで、雇用者報酬はマイナス4・7%と史上最大の低下だと指摘。「『順序だてて』と言ったが、順序が間違っている。“大企業を応援すればいずれは労働者や中小企業にまわっていく”というのが今までの経済政策だったけれど、結局は失業者が増え、有効求人倍率は過去最悪で、中小零細企業の倒産も増えている。大企業応援ではなくて家計・中小企業を応援するべきだ」と述べました。

子育て支援

あまりに低い水準を上げて中身は総合的に

 少子化対策や子育て支援について、民主党公約「子ども手当」などが議論になるなか、小池氏は「日本の子育て水準があまりに低いことに政治がしっかりと方向を示すべきだ。先進国では子育て支援の予算がGDP比3%以上が当たり前なのに、日本は0・81%と極端に低い。これを上げる。中身は総合的なものでなければいけない。(児童手当などの)現金給付も必要だし、認可保育所も増やす。日本共産党は、子ども医療費や高校授業料の無償化も提起している。ただ、『子ども手当』については、控除の廃止と抱き合わせでやるというのでは、お子さんがいない家庭や子育てが終わった世代を犠牲にする形で負担を押し付けることになる。それはやるべきではない」と指摘しました。

年金制度

受給資格期間を10年に各党一致 すぐやるべきだ

 年金制度について各党の案が示され、民主党は最低保障年金制度への移行について「通常40年かかるが、20年ぐらいで考えたい」と表明。これを受けて小池氏は「100万人を超える無年金の方がいる。国民年金では平均4万7千円。解決まで20年も30年も待っていられない話だ。受給資格期間を25年から10年にする。これは与野党が一致しているのだから与野党合意ですぐにやるべきだ」と提起しました。

 その上で「日本共産党は、最低保障年金で5万円の底上げをして、国民年金でいえば(満額で)8万3千円にする。しかも(財源は)消費税ではなくて、きちんと負担能力に応じて負担していく形で最低保障年金制度をつくるべきだ」と述べました。

 自民、公明が無年金、低年金対策を述べたことについて、小池氏は「与党はいろいろ言うけれども、どれだけの年金額を保障するかという話は全然出てこない。具体的な数字を示していただきたい」と求めましたが、与党側から明確な答えはありませんでした。

財源問題

消費税は社会保障を壊す税 税負担は能力に応じて

 財源問題について、他党は「ムダを削る」と述べる一方、将来的に消費税増税を示唆する発言を繰り返しました。小池氏は「税と社会保障の原則は、負担能力に応じて負担することだ。消費税というのは、母子家庭にも生活保護家庭にも重くのしかかる。社会保障を壊す税金だ」と指摘。軍事費などのムダ遣い、大企業・大資産家優遇をただせば財源を確保できることを強調しました。

外交・安全保障

米兵事件裁判権もない異常 対等・平等な日米新時代に

 外交・安全保障問題では、まず日米関係のあり方について、司会者が民主党に「対等な日米関係というがよく分からない」とたずねました。

 民主党の直嶋正行政調会長は「日本として言うべきことを言っていく」とし、地球温暖化防止などの「ソフトパワー」を含めて協力していくと述べました。公明党もそれに同調。自民党の石原氏は「(米政府に)『対等』などというのは慎重にすべきだ」と米国従属の姿勢を示しました。

 それに対して小池氏は「日米同盟とは軍事同盟だとしっかり見る必要がある」と指摘。「戦後60年以上たって、135もの米軍基地を置かれ、米兵による事件・事故も年間2000件近く起こるのにまともな裁判権もない。こういう異常を続けていていいのかが問われている。日米安保条約はやめて、対等・平等の友好条約を結ぶ新時代にすすむべきだ」と、21世紀の日本のあり方を強調しました。

 議論は、集団的自衛権問題にすすみました。政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書が、日米同盟強化のために、集団的自衛権の行使ができるよう政府の憲法解釈見直しを提言したことが議論となりました。

 自民党の石原氏は、私見として「北朝鮮の(ミサイル迎撃)問題に限って、解釈変更はありうる」とし、公明党の山口氏は「北朝鮮の問題は、日本の個別的自衛権で解決する余地がある」と述べました。

 小池氏は「米国、中国、韓国が北朝鮮に外交的に働きかけ、対話も始まっているときに、ミサイルを撃ち落とすというような議論をしていること自体、世界から見れば異様だ。日本は“万が一のときどうする”だけで、9999の議論がない。オバマ米大統領が核廃絶を提起しているときに、自民党のマニフェストには核廃絶の『か』の字もない。時代感覚、世界感覚のなさは末期的だ」と、“軍事あって外交なし”の自公政府を厳しく批判しました。

 司会者から、政権をとったら集団的自衛権や日米同盟をどうするか問われた民主党の直嶋氏は「方向性も含めて改めて議論したい」「改めて戦略をつくる」などとし、明確に答えませんでした。「政策的に幅のある民主党とどう付き合うか」との司会者の問いに、社民党の阿部知子政審会長が「緊張感のある連立」と答えると、苦笑する出席者もいました。

 小池氏は「民主党が『対等の日米同盟』というなら、給油活動はやめるべきだ。日米地位協定も改定すべきだ。軍事同盟にどう向き合うか具体的に示さなければ言葉だけになる」と指摘しました。



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