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2009年7月17日(金)「しんぶん赤旗」

ソマリア周辺海域 1〜6月

海賊件数 約5倍に

各国艦船が増加するなか


図

 国際商工会議所の国際海事局(IMB)が15日に公表した報告によると、今年1〜6月のアフリカ東部ソマリア周辺海域での海賊発生件数が、前年同期比で約5・4倍に激増していることが明らかになりました。

 それによると、今年上半期の世界全体での海賊件数は240件で、前年同期の114件を大きく上回っています。地域別ではソマリア周辺が最多で、アデン湾で86件(昨年19件)、ソマリア東方沖で44件(同5件)と、いずれも激増しています。(地図)

新しい海域に

 アデン湾では昨年来、米軍を中心とする多国籍軍やEU(欧州連合)部隊などが民間船舶の警備や海賊取り締まりを強めていますが、結果的には艦船の増加と比例して海賊発生件数も増える形となっています。

 IMBの報告は「アデン湾での複数の国の海軍の存在により、海賊の船舶乗っ取りが困難になっているため、海賊をオマーン沖やソマリア東方沖など新しい海域に向かわせている」と述べ、各国海軍の行動がソマリア東方沖などでの海賊を増やす直接的な要因になっていると指摘しています。

海自も派兵

 海上自衛隊も4月から護衛艦2隻、6月からP3C哨戒機2機をアデン湾に派兵しています。6月には、この派兵の新たな根拠法として「海賊対処」派兵法が成立しました。

 防衛省によると、海自護衛艦は4月1日から7月14日までの3カ月半で38回、のべ115隻の日本関係船舶を「護衛」。ただし、アデン湾を通過する日本関係船舶は年間のべ約2000隻で、圧倒的多数の船舶は対象外となっています。

 外国艦船の展開によって海賊の発生を減らすことはできないことが示されています。

 国連専門機関の一つである国際海事機関(IMO)は今年1月、「ジブチ行動指針」を採択。各国海軍による取り締まりではなく、周辺国の海上警備能力の向上を最優先課題に挙げています。



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