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2009年7月14日(火)「しんぶん赤旗」

介護認定新制度1次判定

「非該当」が倍増

厚労省検討会


 4月に導入された介護保険の新しい要介護認定制度にかんする厚生労働省の第2回検証・検討会が13日に開かれ、新制度の1次判定で「非該当」が倍増するなど、軽度に出る傾向が確認されました。

 2008年4〜5月と比べ、新制度導入後の09年4〜5月の認定では、1次判定で「非該当」とされた人が3・4%から7・6%に増えていました。

 最も低い「要支援1」も、16・4%から18・3%に2ポイント近く増えていました。

 一方、「要介護1」は34%から31・4%へ、「要介護2」は13・7%から12・7%へ、「要介護3」は12・8%から10・3%へと減っていました。「要介護4」と「5」は1ポイント未満の変動でした。

 中度の人が減り、軽度が増える傾向です。

 新規に認定を申請した人については、「非該当」が08年4〜5月の6%から09年4〜5月の11・6%へとやはり倍増し、目立って大きな割合を占めていました。

 調査は、05年以降の各年4〜5月に認定結果が出た要介護認定申請者について、全国の自治体からデータの提供を受けて集計したもの。09年の対象者は23万6407人でした。

 2次判定については、経過措置適用後のデータが公表されました。しかし経過措置は、希望者の認定を従来通りとするもので、新制度による認定結果の検証にはなりません。経過措置適用前のデータは次回の検討会で提出されます。

 新制度については、認定が軽度化するとの懸念が関係者から表明され、政府は導入直後に経過措置の実施を決め、見直しを行う検討会の設置を行いました。


 要介護認定 介護保険サービスを受けるためには認定を受けることが必要。「要支援1」から「要介護5」までの7段階。調査員が申請者の状態を聞き取り調査し、コンピューターで1次判定した上で、介護認定審査会が調査員の特記事項、主治医の意見書を加味して2次判定します。


解説

利用者の声聞き 検証を

 要介護認定の新制度にかんする厚労省の検討会は、「現場の声や客観的データに基づいた検証・検討を行う」とうたいました。

 ところが、「現場」の中心である利用者本人の声が聞かれていません。従来の要介護度を継続する経過措置を希望した場合には、大多数の自治体で利用者に新認定の結果が知らされていません。

 これでは、納得できる認定が出たかどうか分かりません。

 公表された1次判定のデータでは、旧制度と比べて中度の人が減り、「非該当」と「要支援1」が増える傾向が表れています。特に新規の人が11・6%も「非該当」になっていることは重大です。

 2次判定を行う審査会での議論は、利用者1人につき数分です。実際の介護の手間と比べて中・軽度の人の1次判定が軽く出る傾向が強いとすれば、2次判定で十分に修正されるのか、疑問が生じます。2次判定も低いまま出る人がいれば、必要なサービスを受けられず不利益をこうむる恐れがあります。

 また、認定を更新する人と比べ、新規に認定を受ける人は1次判定がそのまま出やすいと介護関係者は指摘します。審査会による2次判定を経てどうなるのか、よく検証される必要があります。

 検討会では、行政の混乱を理由に経過措置の早期解除を求める意見が出ました。

 しかし、混乱の原因は実施の凍結を求める多くの関係者の声を無視して国が新制度を見切り発車したことです。

 経過措置が不都合だというのなら、不信を招いた新制度は中止し、落ち着いて議論し直すことが、利用者・国民への誠意です。

 (杉本恒如)



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