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2009年7月9日(木)「しんぶん赤旗」

水俣病法成立

「企業免罪許さない」

被害者 全員救済へ決意新た


写真

(写真)水俣病特措法の成立に抗議する水俣病被害者ら=8日、東京・有楽町マリオン前

 自民、公明、民主の3党合意から1週間足らずで成立した「水俣病特別措置法」。熊本、新潟から上京して参院本会議を傍聴した水俣病被害者は、参院議員会館、国会前、東京・銀座のマリオン前の3カ所で緊急行動をし、「救済に名を借りた加害企業の免罪は許さない」と抗議しました。

 参院本会議採決直後の緊急抗議集会で、新潟水俣病阿賀野患者会の山崎昭生会長は「私たちは司法の場でもたたかっていく」と表明。水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長も「公害の原点、水俣病の教訓をなんだと思っているのか。友愛といいながら民主党の党首が被害者と会おうともせず、被害者を無視して採決するとは…」と怒りました。

 水俣病不知火患者会の大石利生会長は「法案に賛成した人たちの良識を疑います。私たちは、心を新たにしてたたかいに挑みます」とのべ、胎児性水俣病被害者の永本賢二さんも「胎児性水俣病患者のぼくたちも、団結して、立ち上がっていかんと…」と不自由な手を震わせながら訴え、大きな拍手に包まれました。

 銀座マリオン前で街頭宣伝に立った女性(65)は「なんで私たちはこんな目にあわなければならないのか。一人ひとり水俣病患者の症状は違うけど、一生苦しまなければならない。子どもたちの代までも裁判を起こさないと救済されないのか」と訴えました。

 参院議員面会所の抗議行動には、日本共産党の市田忠義書記局長のほか、赤嶺政賢衆院議員と仁比聡平、紙智子、山下芳生、井上哲士の各参院議員が参加しました。

 仁比議員は「力をあわせてすべての被害者救済に全力を尽くす」とあいさつしました。


“民主党の責任は重大”

患者3団体抗議

 自公民が8日、患者切り捨ての「水俣病特措法」を強行成立させたことで、裁判でたたかっている患者3団体が同日熊本市内で連名の抗議声明を出し、あらためて司法解決をめざしていく決意を明らかにしました。声明を出したのは、水俣病不知火患者会、水俣病被害者互助会、新潟水俣病阿賀野患者会。

 熊本市内での記者会見では、中嶋武光原告団副団長が、衆院では一切審議せず、参院でも1回の委員会審議で成立させたことに抗議し「この法律で唯一はっきりと決まっているのはチッソをはじめとする加害企業の分社化の容認である。水俣病の問題の解決を、加害者である行政に任せておくことはできない」との声明を発表。

 園田昭人弁護団長は「特措法は、チッソ救済だけ。民主党は自分で法案を出しながら、トップで変えた。民主の責任は重大。『救済』を環境省が取り仕切るのでは解決できない。95年の政治解決では司法を無視したから、また裁判がおきた。ますます司法救済制度の確立が求められている」と特措法を批判しました。

研究者ら109人が連名で抗議声明

 「水俣病特別措置法」の成立に対して、ノンフィクション作家の柳田邦男氏、宮本憲一大阪市立大学名誉教授ら109人が8日、「水俣病幕引き・チッソ免責立法」と批判する緊急抗議声明を発表しました。

 声明は、「水俣病の加害企業が、全被害者の補償を行わないうちに法律によって免責されるとは、どのような事情を勘案してもあってはならないこと」と批判しています。

新婦人も抗議文

 新日本婦人の会(高田公子会長)は8日、水俣病法案が成立したことをうけて自民、公明、民主3党の党首に抗議文を送りました。

 抗議文は「法案に(被害者)救済の具体的内容はなく、今後、環境省が決めるとしています。これでは、大量の潜在的被害者が切り捨てられてしまいます」と強調し、「水俣病の全容解明、被害者全員救済へと政策を抜本転換する」ことを強く要求しています。



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