2009年6月30日(火)「しんぶん赤旗」

米軍、都市部から撤退

治安・復興に課題

イラク


 【カイロ=松本眞志】イラク駐留米軍のオディエルノ司令官は28日、米FOXテレビに対し、イラクと米国の地位協定に基づき、駐留戦闘部隊を都市部から既に撤退させたことを明らかにしました。

 今年1月に発効した駐留米軍地位協定は、2011年までに約13万1000人の米軍がイラク全土から撤退することを定めています。そのうち都市、町村部の拠点からの撤退は6月末が期限となっていました。

 6月に着任したヒル駐イラク米大使は「われわれは安全保障協定の重要な里程標の一つに到達しつつある。戦略的枠組み協定の締結を目指して前進している」と述べました。同氏は、米・イラク両国が占領・被占領の関係を脱して、政治、経済、教育の分野で共同する関係に向かっていると説明しています。

 一方、治安情勢はいまでも不安定さを残しています。暴力が原因による犠牲者の数は、5月には2003年のイラク戦争開始以来最低でしたが、6月に入り再び増えています。20日に北部の都市キルクーク近郊で、24日にはバグダッドでそれぞれ60人が死亡。犯行の多くは国際テロ組織アルカイダによるもので、攻撃対象はイスラム教シーア派住民に集中しています。

 世論調査では、国民の7割以上が米軍撤退を要求していました。ところが、テロ増大を背景に米軍撤退に不安を感じる人々も少なくなく、「イラクの治安対策はぜい弱」との声もあがっています。

 イラクのマリキ政権はフセイン政権時代の旧バース党関係者とも和解を図り、一定の進展をみています。しかし治安当局は、旧政権の残存勢力が治安情勢に影響を与える可能性もあると指摘しています。

 問題は治安だけではありません。米軍占領下で破壊された住宅や経済基盤(インフラ)の復興事業、200万人ともいわれるイラク人難民の帰還事業、国内避難民の救済事業など、国土復興に向けた課題の解決も求められています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp