2009年6月23日(火)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地計画

県民の意思にもとづき撤回を


 防衛省は、沖縄での新基地建設事業に伴う環境アセス準備書について、住民の意見と防衛省の見解を示した文書を沖縄県、名護市、宜野座村に送付し、新基地建設に向けた動きを加速しています。

 防衛省が準備書の段階になってはじめて書き込んだ4カ所のヘリパッド(離着陸帯)や岸壁などの新設案は、新基地の危険性を改めて示しました。米軍当局も「十分な能力をもった」新基地にしていくと議会で証言しています。

痛み大きくなるばかり

 現在の米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)は、「ほとんどの航空機を支援できる機能を持ち備え」(海兵隊ニュース)た輸送・戦闘ヘリや輸送機などの拠点です。住宅上空で旋回飛行訓練をくりかえし、住民に爆音被害と墜落の危険を押し付けています。「世界でもっとも危険な基地」といわれます。普天間基地の軍事機能と痛みをたらい回しにするのが新基地計画です。だからこそ7割もの県民が反対しているのです。

 米海兵隊のコンウェイ総司令官は4日の米上院外交委員会公聴会で、新基地が「十分な能力をもたなければならない」と証言しました。新基地の機能は普天間基地と変わらないということです。

 防衛省はヘリが「緊急時」だけでなく「訓練」でも住宅上空を飛行することを認めるようになりました。とはいえ、日本側が「得心しない」ものは認めないともいっています。しかし、ヘリがどのような危険な飛行をしようと、「米軍のやることには口はだせない」と日本政府は説明してきました。「日米軍事同盟絶対」の政府が、米軍機の飛行を規制できるかのようにいうのはごまかしです。新基地ができれば、普天間基地と同じように、住宅上空を飛行し、広域住民に爆音被害と墜落の危険を押し付けるのは避けられません。

 防衛省が新たに認めたヘリパッドの新設は見過ごせません。ヘリが滑走路以外からも離着陸できることを意味し、その分、C130輸送機などの固定翼機が滑走路を多用できるようになります。2012年には沖縄配備が計画されている、垂直離着陸も滑走離着陸も可能な最新鋭輸送機オスプレイも新基地を使えます。

 岸壁の新設も大きな問題です。故障したヘリを輸送する輸送艦が使うと防衛省は説明しますが、200メートルもある岸壁ができれば、あとは米軍任せです。兵員1000人と装備を時速80キロでどこにでも迅速に輸送できる高速輸送艦は、長さが100メートル程度です。岸壁とはいえ深さも十分あり、他の艦船が使わない保証はありません。

米軍基地なくす方向で

 新基地は、普天間基地の機能と新たな軍港機能を兼ね備えた、最新鋭基地になるのは明白です。基地による「痛み」を「軽減」するどころか「激痛」を県民に与え続けるのは明らかです。予定地から少しずらせば容認するという沖縄県当局の態度は県民の願いに反します。

 きょうは太平洋戦争末期の悲惨な沖縄戦を思い起こし、平和への思いを新たにする沖縄の「慰霊の日」です。悲惨な沖縄戦を経験した沖縄県民の共通した願いは、「基地なくせ」です。県民を苦しめている普天間基地の無条件閉鎖と撤去を要求し、米軍基地の縮小・撤去をせまることが重要です。



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