2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」

重要3法案再議決強行

民意とかけ離れる異常国会

自公政治、行き詰まる


 参院でいったん否決された法案を3分の2以上の賛成多数で次々と成立させる―。与党が3つの重要法案の再議決を“乱発”した19日の衆院本会議は、国民の願いから、大きくかけ離れた国会の異常な姿をまざまざと見せつけました。

 海外での自衛隊の武力行使に道を開く「海賊対処」派兵新法。大企業優遇減税を優先する租税特別措置法。年金財源確保を口実に消費税増税にレールを敷く改定国民年金法…。

 いずれも、日本の外交・安全保障と国民の将来の暮らしに深刻な影響を与える重要な法律です。野党が多数を占める参院で否決されたから、「即、再議決」というやり方は、あまりにも乱暴で道理がありません。

与党の悪あがき

 同時に、この暴挙は、「数の力」にしか頼ることができないという政府・与党の深刻な行き詰まりそのものです。

 現在の衆院の与党3分の2以上という議席は、2005年の「郵政民営化」を唯一の争点にした選挙で獲得したものでした。しかし、貧困と格差の広がりのなかで、「郵政民営化」に象徴される「構造改革」路線に、国民の批判と怒りが集中。07年の参院選では与党を惨敗させ、参院では野党多数という政治状況の変化が生まれました。

 その後、安倍首相・福田首相と2代続けての政権放り出しがあり、いま麻生政権は「構造改革」路線から転換をはかることができないまま、国民との深刻な矛盾を拡大しています。

 世論調査での支持率が10%台に急落した政権が、再議決という手段しかとれないのは、「郵政選挙」で獲得した議席という「遺産」があるうちに、できる限り悪法を通そうという悪あがきにほかなりません。

競う民主の対応

 行き詰まった与党の暴走にたいして、民主党のとった対応も、国民の願いからかけ離れたものでした。

 同党の幹部は早くから「海賊対処法案を含め重要法案といわれるほとんどすべても第2週に上げる方向だ」(5月30日、山岡賢次国対委員長)、「(重要法案の参院審議は)少なくとも6月いっぱいには終わってしまうと見るのが普通だ」(6月4日、輿石東参院議員会長)と表明。与党の審議促進に積極的に呼応しました。

 西松建設違法献金事件で小沢一郎前代表の公設秘書が逮捕された3月以降、民主党の国会での追及は完全に腰砕けとなりました。しかし、審議促進の姿勢はそれだけではありません。

 同党は昨年段階で、「海賊対処」を口実にした自衛隊派兵の提案を最初におこない、法案具体化の端緒をつくりました。政府案にたいする「修正案」を提示しましたが、その内容は、政府案とほとんど変わりないものでした。

 国民年金法改定の審議をはじめとする社会保障財源をめぐっても、同党は、もともと「年金財源のための」消費税3%引き上げを主張してきた立場です。「財政のムダをなくせ」とはいいますが、大企業・大資産家へ応分の負担を求めるという姿勢もありません。

 自衛隊海外派兵や消費税増税という、自民党と民主党の共通部分の危険性が、三つの重要法案の審議をめぐっても浮き彫りになっています。

解散総選挙こそ

 政府が「重要法案」と位置づけた3法の成立によって、7月28日までを会期とする「延長国会」は大きな節目を迎えました。

 麻生政権は、いつまでも国民の審判から逃げ続けるのでなく、ただちに解散・総選挙で民意を問うときです。新しい国会では、古い枠組みでの競い合いをする自民・民主の二大政党でなく、21世紀の日本のすすむべき道を明確に掲げ、国民の願い実現に向け積極的に国政を動かす日本共産党の前進こそが痛切に求められています。(宮沢毅)


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