2009年6月17日(水)「しんぶん赤旗」

臓器移植4案 討論

共産党が議題化反対 審議は不十分

衆院本会議


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(写真)臓器移植法改正案について意見を述べる佐々木憲昭議員(左から2人目)=16日、衆院議運委

 議員有志が提出している臓器移植法改定案4案について、16日の衆院本会議で各案に賛同する議員の討論が行われました。

 本会議に先立つ議院運営委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員は、厚生労働委員会で4案の審議が尽くされていないのに、委員会審議を打ち切り、本会議の議題とすることに反対する意見表明を行いました。社民党も反対表明しました。

 佐々木氏は、わずか8時間の厚生労働委員会の審議で4案への問題点や矛盾点が噴出したことをあげ、「このような状態で、いずれかの選択を全議員に迫ることは適切ではなく、やるべきではない。どうしても採決するというのであれば日本共産党は4案すべてに棄権する態度をとるしかない」と表明しました。

 佐々木氏は、採決することだけに固執することは、「臓器を必要とする患者の願いと、臓器を提供してもいいとするドナーの善意の双方にとって、合意と納得が得られないまま、お互いに歩み寄れなくなる懸念さえある」と指摘。臓器移植は「人の命にかかわる医療、生命倫理が根本的に問われるものであり、国民の納得と合意形成がどうしても必要だ。いますべきことは、専門家や関係者の参加を求め、正確な医学的知見をもとに議論を重ね、国民の理解を深めることだ」と強調しました。

 本会議の討論では、4議員が各案への賛同意見を表明。その中でも、厚労委での審議がわずか8時間だったことに「不安を禁じえない」との意見が出されたほか、「いろいろ悩んだあげく登壇することになった。早急に再び『脳死臨調』を設置し、広く国民世論を喚起しながら、何ができ、何ができないかを議論すべきだ」との声があがりました。

 同日の衆院議運委では自民、公明、民主などの多数で4案の採決を18日に行うことを決めました。


 臓器移植法改正案 現行法(1997年成立)では、本人が生前に意思表示を書面で行い、家族が拒まない場合のみ脳死は「人の死」とし15歳以上の臓器摘出が可能となっています。提供者の自己決定を要件とするため0〜14歳は提供できません。これに対し、議員有志からA案=年齢を問わず、脳死を一律に「人の死」とし、家族同意のみで提供ができる、B案=提供の対象年齢だけを12歳以上に引き下げる、C案=脳死の定義、脳死判定基準、脳死判定を開始できる要件などを厳格化する、D案=0〜14歳について▽本人が生前に拒否の意思表示をせず▽家族が承諾し▽家族による虐待などがないことを病院の倫理委員会が確認した場合に可能とする―の四つの改正案が提出されています。



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