2009年6月8日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

広がれ文化活動


 国の文化予算・施策が貧困ななかでも、人々のふれあいの場を広げ、元気を与えている草の根の自主的な文化活動が各地にあります。広島と東京から紹介します。


歌声喫茶で 平和の輪

広島のうたごえ協議会

 広島県では、団塊の世代が若かりしころに青春を謳歌(おうか)した歌声喫茶を再び楽しみたいと、「みんなうたう会」や「うたごえ喫茶」が県内各地に広がっています。

■9条守る運動

 日本のうたごえ協議会(高橋正志会長)は「うたごえは平和の力」をモットーに憲法第9条を守る「うたう会」を全国999カ所で開く「シンギング・ピース999(スリーナイン)」運動を提唱。広島のうたごえ協議会(高田龍治会長)が、全県を視野に入れて運動を展開しているものです。

 広島協議会とつながりのあるサークル数は、県西部の広島、廿日市の2市と府中町に13カ所、県北部の三次市に1カ所、県中部の呉、東広島の2市に2カ所、県東部の福山、尾道、三原の3市に4カ所で、合計8市1町の20カ所です。そのうち、広島市で2005年11月に開催された「日本のうたごえ全国祭典inヒロシマ」の取り組み以降に誕生したサークルが15カ所あります。それ以前の広島、福山、廿日市、三次の4市6カ所から3倍化しました。

 伴奏楽器はピアノ、ギター、アコーディオン、シンセサイザー、フルート、バイオリンなど趣味を生かして多様。月1回程度の定例で10人前後が集まる「うたう会」から数十人規模で盛り上がる「うたごえ喫茶」までさまざまです。

 広島市安芸区で06年10月に新日本婦人の会支部から発足した「うたごえサークルくくるくる」のリーダー安藤礼子さん(56)は「平和と暮らしを守る新婦人として、歌でも平和の大切さを伝え、明日への活力を生み出したい」と話します。協議会の援助で07年4月に再出発した福山市の「うたごえ喫茶ケセラセラ」のリーダー瀬良育子さん(60)は「集まってくださる方々とのつながりを大切に、さらに幅広い歌を、平和の歌を織り交ぜながら歌っていきたい」といいます。

■解雇撤回支援

 呉市で不当解雇撤回を求めて裁判をたたかう木村孝代さん(49)らが07年12月に発足させた「うたごえボランティアたんぽぽ」のメンバーの支援もうけて、木村さんは08年6月、職場復帰の勝利和解を勝ち取りました。

 広島のうたごえ協議会は運動のセンターとして08年7月、全県に広がるサークルの交流を深め、リードや伴奏の力量を高め合う「堺町うたの広場」を定例化、奇数月に1回の割合でスタートしました。県内各地のサークルから毎回30人前後が参加し、歌い交流しています。

 高田協議会会長は「生まれたばかりのサークルは、うたごえのリードや伴奏で苦労することが多い。協議会として大いに援助し、さらに運動の輪を広げていきたい」と話しています。(広島・突田守生)

 問い合わせ=広島のうたごえ協議会 082(294)3981、Eメール=hiroshimasaiten@mbp.nifty.com

劇に映画 日韓交流も

東京・中野 RAFT

 「RAFT=らふと」は東京・中野区にあるアートスペースです。「地域に気軽に文化を楽しむスペースがほしい」。そんな思いを持った人たちが集まり、RAFTを立ち上げました。これまでに、演劇、コンサート、ダンス公演、映画上映会、布絵や写真の展示など、ジャンルを問わずさまざまな企画に取り組んできました。

■子どもと創作

 「RAFT」とは、川を渡ったり海を越えたりする「いかだ」のことです。「いかだ」からイメージするものは「冒険」ではないでしょうか?(トムソーヤ、ハックルベリーフィン!)

 RAFTの運営方針は「失敗を恐れず、新しい世界に出会い、新鮮な発見をしていく」というものです。一つの空間でともに演劇や音楽を楽しみ、場を分かち合う、そこには出会いや発見があふれています。

 今年の目玉企画は、「こどもと演劇」プロジェクトです。この企画は、これまで児童演劇とはかかわりのなかった若手の劇団に、子どもに向けて演劇を創作してもらい、RAFTで上演するというものです。若手の斬新な感覚が、子どもたちの心にどのように響くか、これは冒険であり、実験です。

 この企画は、昨年、RAFTのメンバーが「アシテジ演劇祭(世界的な青少年演劇フェスティバル)」に参加したことが発端です。その報告会を通じて、児童演劇の豊かさに触れました。そこには、子どもだけでなく、おとなも楽しめるイメージの豊かさと、深いメッセージがありました。RAFTでもそんな演劇を発信し上演しようということで、この企画を立ち上げました。

 しかし、いま現在、RAFTには、地域の子どもたちとの接点がありません。ですが、企画を進めるなかで子どもたちとのつながりをつくり、そして、ゆくゆくは子どもからおとなまで、さまざまな世代の人々が、気軽に足を運べるようなアートスペースになればと思っています。

■幅の広い企画

 RAFTをオープンして3年半、韓国のアーティストとの交流も実現でき、その交流はいまも続いています。そして、実験的なパフォーマンスやダンスの公演なども活発に行っています。同時に、地域の人たちが中心となり、歌声喫茶を定期的に開いたりもしています。RAFTの特色はそういった企画の幅の広さだと思っています。

 一方で、文化を取り巻く状況は一段と厳しく、経営はとても大変です。しかし、そんな時だからこそ、文化を楽しむことを大切にしたいと考えています。これからも、さまざまな世代、価値観が交流するアートスペースとして、RAFT(いかだ)は、航海を続けます。(NPO法人らふと事務局・来住真太)

 RAFT=東京都中野区中野1の4の4 1階 tel/fax03(3365)0307、ホームページhttp://www.purple.dti.ne.jp/raft/ NPO法人らふとは支援会員を募集しています。年会費一口2500円


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