2009年5月25日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」での

市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長が二十四日のNHK「日曜討論」でおこなった発言の詳報を紹介します。


政治とカネ――金権腐敗体質という点では、自民党と民主党はまったく変わらない

 民主党の岡田克也幹事長が、西松建設違法献金事件がらみで小沢一郎氏が代表を辞任したことについて、西松事件は裁判で解決されるべきであり、小沢氏に具体的説明を求めるのは「(筋が)違う」と発言。また、官僚支配から脱却して官僚を使いこなしていくなどと述べました。これに対し市田氏は次のように述べました。

 市田 小沢前代表の秘書が西松建設違法献金事件で逮捕、起訴されたことがきっかけで、国民の批判が高まり、その批判に耐えられなくなって(小沢氏が)代表を辞めた結果行われたのが今回の代表選挙です。ところが、(代表選での)岡田さんと鳩山さんとの議論を聞いても、鳩山新代表の就任あいさつを聞いても、西松の「に」もなかった。

 司法の手にゆだねるというが、政治家の政治的道義的責任というのは大事です。公共事業受注企業である西松建設から十年間で三億円ものお金をどうして受け取ったのか、何に使ったのかは、やはり小沢さん自身が明らかにすべきだし、民主党としても自浄作用を発揮すべきです。

 金権腐敗体質という点では、自民党と民主党はまったく変わらない状況が明らかになったと思います。

 「脱官僚」という話でしたが、(代表選では)「脱財界」「脱アメリカ」という言葉は、やはり出てきませんでした。雇用破壊や(毎年二千二百億円の削減による)社会保障の破壊も、財界・大企業の要望に応えた政治がもたらしたものですから、やはり政官財の癒着を断ち切る立場に立つ必要があると思います。

  西松事件について、自民党の石原伸晃幹事長代理は「(小沢氏は)何ら反省していない」と、また公明党の北側一雄幹事長は、「(民主党は)自浄能力があるのか」と批判。市田氏は、次のように指摘しました。

 市田 二階(俊博・経済産業相)さんは国会で(西松事件について)聞かれて、“お金を出した団体がどういう団体か、お金の出所はどこかといちいち調べる必要はない。それが常識だ”と答弁しました。これは小沢さんが三月四日の記者会見でいったこととまったく一緒です。その点では(自民も民主も)まったく同質です。

 北側さんは、自民党は“きちんとやっている”といいましたが、全然やっていませんよ。麻生首相には任命責任があるのに、「個別の事案には答えられない」と国会の公式の場でいったんです。自民党の国民政治協会自身が西松建設のダミー団体から献金を受け取った事実も明々白々です。これについても、自民党は自浄努力をしていないわけで、自民党に民主党を批判する資格はないし、同罪だと私は思います。

補正予算案――景気悪化から国民を守り、国民の懐を温める経済政策に転換を

 市田氏は政府の補正予算案について、「いまの景気悪化から国民を守るという中身はまったくない」と指摘。他の野党各党も同予算案を批判したのに対し、公明党の北側氏は「深刻な経済危機を認識していない」などと“反論”しました。市田氏はこう述べました。

 市田 自公政権のほうが認識していないと私は思います。総額十五兆円先にありきで、中身は一年限り、一回限りのばらまきがほとんどです。一般マスコミでさえ「選挙目当て」だと書かざるをえないのが実態です。

 国民健康保険料が高すぎて払えずに「資格証明書」に切り替えられてお医者さんにもかかれない人がいるのに、そういう人への手当ては一切ないし、生活保護の老齢加算、母子加算も打ち切られたままです。“おかあさん、ぼくは修学旅行は断念するよ”と子どもにいわせるような実態を放置しておいて…。

 やるのならば、やはり後期高齢者医療制度や障害者自立支援法による一割負担を廃止するとか、生活保護の母子加算や老齢加算をきちんと元に戻す、国民健康保険証の取り上げはやめる、国保料をもっと引き下げるということなどこそやるべきです。

 それなのに、一回切りのばらまきばかりで、その中身は贈与税などの減税や自動車を買ったら補助するといったものです。大型テレビを買えばエコポイントだというが、これは環境(保護)とも矛盾します。電力消費量の一番大きなものを買えばエコポイントがたくさんつくわけでしょう。

 いまの景気悪化から国民を守り、外需主導ではなく、もっと国民の懐を温めるという経済政策に転換するという哲学がまったくないと(思います)。

  岡田氏は、「官僚がつくった予算案は絶対に変えないという官僚政治だ」などと批判。北側氏は「生活対策が不十分というのはあたらない」などと述べました。

  市田氏は、次のように指摘しました。

 市田 個人消費が(一月―三月は前期比で)1・1%落ち込んでいますが、これは消費税を5%に引き上げた一九九七年以来の落ち込みです。GDP(国内総生産)は年率換算で15・2%の落ち込みです。

 主要な要因は、内需の落ち込みですが、最大の問題は雇用の破壊です。さきほど北側さんは、補正予算案にもセーフティーネットはいろいろあるといわれました。セーフティーネットは必要だと思います。しかし、“蛇口”を止めないままで、「派遣切り」や「期間社員切り」を野放しにしておいて、“安心して首切ってよろしい、セーフティーネットを”というのでは、まずい。

 大企業に社会的責任を果たさせて不当な「派遣切り」や「期間社員切り」をやめさせるための派遣法改正には、政権与党は真剣に取り組もうとしていません。

 もう一つは、やはり社会保障の切り捨てです。

 そういう切り捨てから拡充に転換し、国民の懐を温めて個人消費を拡大し、国内での物の売り買いを活発にすることで景気回復が軌道に乗っていくわけで、そこをきちんと手当てすることが大事です。

消費税増税――与党も民主党も依存する点では同じ、時期と手法が違うだけ

 民主党の岡田氏は、「(次期総選挙以降の)四年間の任期の間に消費税を上げることはない」と述べながら、「選挙で問わずに抜き打ち的に増税することはない」と発言し、四年後以降の消費税増税の可能性を示唆しました。北側氏は、今回の補正予算案と将来の消費税増税とは「まったく関係がない」などと述べました。市田氏は、北側氏の発言に次のように反論しました。

 市田 それは大ウソですね。(税制「改革」の)「中期プログラム」では、社会保障の財源として消費税問題を考えるといっていましたが、これはもう「見直す」と与謝野さん(財務相)がいっているんです。十五兆円のばらまきをやり、結局はそのツケを消費税増税で国民に押し付けるということです。

 それから、さかんに「社会保障のため」に“財源が必要だ”と北側さんはいいました。(消費税)導入のときも、3%を5%に上げるときも、「社会保障の拡充のために」というのが名目だったんです。しかし、導入からこれまでに二百十三兆円の消費税が取られましたが、福祉、医療、介護が一つでもよくなったのか。消費税の導入で、いかに福祉が削られたか、社会保障が削られたか、国民はみんな痛いほど実感しています。一方で、今日までに法人三税がいくら減税になったかというと、百八十二兆円です。結局、社会保障のためといいながら、法人三税の減税の穴埋めに使われたといわれても反論できないと私は思うんです。

 消費税というのは、収入の少ない人ほど負担が重い。いま十九年ぶりの国民所得の落ち込みです。持ち金が千円しかないような派遣労働者からも搾り取るものです。しかも、大企業は価格に転嫁することができるから、一円も負担しない税なんです。これほど不公正な税はありません。

 消費税増税を、岡田さんは四年後、(与党は)消費税を含む税の「抜本改革」を二〇一一年にやるという。時期と手法が違うだけで、消費税に依存するという点では、与党も民主党も変わりないと私は思います。

  最後に、衆院解散の時期について問われて市田氏はこう述べました。

 市田 三代にわたって国民の信を得ていない内閣が続いており、争点を明確にして一日も早く解散すべきです。悪法を通すための会期延長も論外だと思います。



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