2009年5月21日(木)「しんぶん赤旗」

沖縄新基地アセス意見書

5000通超す

県民世論は「やり直し」


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(写真)「新基地建設ノー」をかかげ座り込み・監視活動をする「テント村」の人たち=沖縄県名護市辺野古

 日米両政府が沖縄県名護市の辺野古崎沿岸で推進する新基地建設のための環境影響評価(アセス)準備書への意見書が五千通を超えました。米軍基地の県内移設、「史上最悪の独善アセス」(島津康男環境アセス学会初代会長)への県民の反発と批判の強さを改めて浮き彫りにしたものといえます。

 沖縄防衛局によれば受理した意見書は十九日現在(締め切り日の十五日消印有効)で五千三百十通としています。これは同アセス方法書への意見書(四百八十七通)の十倍を超えています。

環境も平和も

 意見書は、「埋め立てによるサンゴ礁やジュゴンなど海の生態系への影響調査が不十分」、「私は八十六歳。戦世の地獄は体験ずみ。軍隊は自国も他国もダメにする。新基地はつくるな、税金のムダ遣い」など、環境問題とあわせて、基地のない平和な沖縄を願う県民の痛切な思いが共通してつづられているのが特徴です。

 準備書は、新基地建設を担当する防衛省沖縄防衛局が作成。四月一日に沖縄県に提出し、公告・縦覧し、五月十五日を期限に住民などの意見を募りました。しかし五千四百ページ、三分冊という膨大な分量に「県民が自由に閲覧し、読める分量ではない」「縦覧場所を増やし、期限を延長すべきだ」などの声が相次ぎました。

 内容的にも、軍艦が接岸できる軍港機能、戦闘機への弾薬装備場、四カ所のヘリ離着陸帯(ヘリパッド)設置などを記載。しかしこれは、新基地の機能・設備を明示し、その環境への影響について調査・予測する方法を示す方法書にはなく、いわば「後出し」で環境アセス法に違反するものでした。

くり返し学習

 名護市のヘリ基地建設反対協議会や環境団体による「沖縄ジュゴン環境アセス監視団」、安保廃棄沖縄県統一連などが準備書の問題点を明らかにする資料をそれぞれ作成し、学習会を繰り返すなど意見書を書く県民運動をよびかけました。

 日本共産党沖縄県委員会は独自に学習資料を大量に用意し、経験を交流するニュース速報も発行するなど取り組みを強めました。

 「県民の意見書への取り組みのかつてない参加の広がりは、基地の県内移設をごり押しする日米両政府を県民がまったく信用していないことの表れだ」と指摘するのは大西照雄ヘリ基地反対協代表委員です。

 環境アセス監視団は今月三十日に県内でシンポジウムを計画。環境アセスの専門家を交え、意見書運動の到達と県民世論に依拠した取り組みを交流します。今後の県環境審査会に向けての取り組み、準備書への違法書き込みの是正、環境アセスのやり直しを求める運動に総力をあげる構えです。



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