2009年5月20日(水)「しんぶん赤旗」

オバマ大統領、二国家共存求める

米国とイスラエルが首脳会談

ネタニヤフ首相は拒否


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は十八日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談しました。オバマ大統領はイスラエルとパレスチナの二国家共存案に基づく和平交渉の再開と入植地拡大の凍結を求めましたが、ネタニヤフ首相はパレスチナ国家樹立の受け入れも入植地拡大凍結も表明しませんでした。両者の会談は初めて。


 会談後の共同記者会見でオバマ氏は「二国家による解決は、パレスチナ人だけでなくイスラエル国民にも、また米国と国際社会にとっても利益になる」と強調しました。

 二国家共存案とヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地拡大凍結は、ブッシュ前米政権が主導した中東和平ロードマップ(行程表)でうたわれ、イスラエルも原則的に受け入れていたものです。ネタニヤフ氏はこの受け入れを拒否した形です。

 和平交渉再開についてネタニヤフ氏は「パレスチナ側と直ちに和平交渉を始めたい」と述べながらも、「パレスチナは、イスラエルをユダヤ人国家として認知し、イスラエルの自衛の権利を認めなければならない」と主張し、交渉再開に条件を付けました。


 ユダヤ人国家 イスラエルは一九四七年の国連総会決議に基づき「ユダヤ人国家」(独立宣言)としてパレスチナの一部に建国されました。しかし、国内にはアラブ人など他の民族もいます。一九四八年の建国と同時に起きた第一次中東戦争の際、イスラエル領内にとどまったアラブ人とその子孫は現在イスラエル人口の二割を占めています。この戦争ではまた、パレスチナ人七十万人が難民として流出しました。イスラエルはこれらの難民とその子孫のイスラエル領内への帰還を基本的に拒否しています。ネタニヤフ首相らがことさら「ユダヤ人国家」を主張するのは、これらのアラブ人・パレスチナ人の権利をないがしろにするものだとの批判がイスラエル内外からでています。


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