2009年5月18日(月)「しんぶん赤旗」

都議選リポート

小児病院存廃 焦点に

共産党の存続条例に共感

廃止の自公、弁明に躍起


 東京都議会議員選挙(七月三日告示・十二日投票)に向け論戦が白熱するなか、都立小児病院廃止への都民の批判が強く、廃止を推進した自民、公明が弁明に追われています。(本田祐典)


 「子どものために(病院は)今のままで」「ダウン症の三男がかかっている。なんとかしてほしい」「(統合先の)府中に行くまでに助かる命も助からなくなる」

接点のない人も

 八王子市の日本共産党地区委員会が三月末に実施した都政アンケートに寄せられた小児病院存続の願いです。回答は約千八百通。記名があった六百通のうち半数がこれまで日本共産党と接点がなかった人でした。

 自民党支持という女性は「共産党を精神的に拒絶してきたが、八王子小児病院の廃止には賛成できません。清水ひで子様をかげながら応援させていただきます」との手紙を寄せてきました。

 都立小児病院の廃止は、八王子、清瀬、世田谷にある三病院をすべてなくし、府中市につくる小児総合医療センターに統合するというもの。統合の結果、多摩地域のNICU(新生児集中治療室)の配置に大穴が開くことになります。

 今年三月に廃止条例は可決しましたが、実施時期は決まっていません。都議会厚生委員会での採決は七対六の小差でした。

 八王子で反対をつらぬいてきたのは日本共産党の清水ひで子都議だけ。「廃止条例は強行されたが、子どもの命を守るには八王子小児病院がどうしても必要。都議選後の都議会で存続条例を提案します」と連日、朝七時から駅頭で訴えます。

 病院存続の運動に取り組む女性(62)は「清水さんは、ずっと市民とともに廃止反対を訴えた。その奮闘が都議会を動かしてきた」と語ります。

民主は請願反対

 自民党都議はホームページで「決まっていた事」「当時の議員であったら皆さんと同じように移転については反対をした」と責任逃れ。公明党は街頭に出て、宣伝やビラで「ドクターヘリが飛ぶから移転しても大丈夫」と火消しに躍起です。

 民主党は廃止条例に反対しながら、病院存続を求める都民の請願に反対。同市選出の都議は「個人的には病院廃止に反対」と、支持をつなぎとめようとしています。もう一人の民主党新人は元自民党市議で、小児病院問題への態度を明らかにしていません。

 「小児病院問題に熱心なのは共産党と公明党だ」と思い込んでいた市内の商店主の女性(75)は自民・公明両党が廃止条例を強行したとビラを読んで知りました。「創価学会員や公明党市議が訪問してきて『病院問題で頑張っています』と繰り返していたのは何だったのか」と驚き、「次は共産党に」と期待を寄せます。

 「もうあきらめていた」という美容師の男性(28)はJR八王子駅前で党後援会のハンドマイク宣伝を聞いて、都議選後の都議会で廃止反対を多数派にして病院復活の条例をつくろうという訴えに共感。「政治は身近じゃなかったけど、今度の都議選は投票に行く」と話しています。

 党支部や後援会は十六日、八王子駅北口商店街で大宣伝。「五歳の長男がかかっている。ほかのお母さんも救急が遠くなれば困る」(四十歳の女性)、「生まれて七カ月のうちの子のためにもなくさないで」(二十代の女性)と期待の声が寄せられました。



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