2009年5月15日(金)「しんぶん赤旗」

介護保険 与野党討論会

国の負担を増やせ

小池政策委員長が発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は十三日、都内で開かれた与野党代表による政策討論会「介護保険の未来を語る」に出席しました。主催は、幅広い個人と団体でつくる全国組織「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」。


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(写真)政策討論会「介護保険の未来を語る」で発言する小池氏(右から3番目)=13日、都内

 主催者代表の高見国生氏(「認知症の人と家族の会」代表理事)は、「介護保険制度は改定のたびに負担が増え、使いにくさが増している。使いやすくしてほしい」と話しました。

 小池氏は、(1)保険料・利用料を減免して経済的理由で介護を受けられない人をなくす(2)「介護とりあげ」、「保険あって介護なし」の現状をただす(3)労働条件を改善して人材不足の解消をはかる―などを提案しました。

 国の負担割合について小池氏は、ただちに5%引き上げ、計画的に50%にまで増やすことを提案。「5%上げるのに必要な予算は米軍への思いやり予算と同じ約三千億円だ。米軍への思いやりより介護を受ける人への思いやりこそ求められる」と述べました。

 四月から導入された新しい要介護認定制度について、国民新党の森田高参院議員は「小池さんが(厚労省の)内部文書を爆発させた。あれを出してくる共産党はすごいと感心した。認定の下方修正が目的だと明らかにした」と述べました。


「要介護認定廃止」に共感

小池政策委員長の提案

会場拍手 与党も賛意

 十三日の政策討論会「介護保険の未来を語る」で、日本共産党の小池晃政策委員長が提案した「要介護認定の廃止」に、共感の連鎖が起きました。

 介護保険では七段階のどの要介護度(要支援1・2、要介護1―5)と認定されるかで使えるサービスの種類と量が変わります。

 小池氏は、自らが入手した厚労省の内部文書で、四月導入の新しい要介護認定制度の狙いが給付費の削減だったことが明白になったと指摘しました。

 その上で「もはや要介護認定はやめたほうがいい。生活の実態を知るケアマネジャーなどの専門家が必要なサービスをケアプランに盛り込む仕組みにしていくべきだ」と述べると、会場は拍手で応じました。

 主催者代表の高見国生氏は、「そもそも要介護認定はいるんだろうか。専門の方が判断してもいいのではないか」と討論を促しました。

 野党の代表は「将来的には(要介護認定に注ぐ)労力とお金をサービスに振り向けるべきだ」(民主・山井和則衆院議員)「ケアマネジャーを信じてプランを出して審査すればいい」(社民・阿部知子衆院議員)「理想形はケアマネジャーが自立して実態に合った認定をやること」(国民新・森田高参院議員)と賛同しました。

 与党も「そもそも七段階いらないのではないかといえば、理想はそうだろう」(自民・田村憲久衆院議員)「要介護認定は複雑になっている。わかりやすいほうがいい」(公明・福島豊衆院議員)と述べました。

 一方で「ケアマネジャーは公務員ではない。民間の立場だ」(福島氏)などの懸念も表明しました。

 小池氏が「ケアマネジャーは民間だから難しいというが、医者は民間だ」と述べると会場は爆笑。「医療保険では医師が必要と考えるサービスが提供されている。介護保険でも同じようなシステムにすればよい。要介護認定はやめましょう」と呼びかけると、大きな拍手がわきました。

 主催者代表の白澤政和氏(大阪市立大学大学院教授)は、「(心身の状態が悪く)要介護度が高かったら喜ぶのはおかしな話。要介護度が高くないとサービスを利用できない制度が悪い。要介護認定のもつ意味を考えていただくことが大事だ」と締めくくりました。

 日本共産党が二月に発表した「介護保険10年目を迎えるにあたっての提言」で提起した方向が、介護にかかわる国民・関係者の気持ちに合致しており、立場の違いをこえた共同を進める条件が広がっていることが示されました。(杉本恒如)



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