2009年5月13日(水)「しんぶん赤旗」

在沖米海兵隊グアム「移転」協定に対する

井上議員の反対討論

参院委


 日本共産党の井上哲士議員が十二日の参院外交防衛委員会で行った在沖縄米海兵隊グアム「移転」協定承認案にたいする反対討論は次の通りです。


 反対理由の第一は、日本政府が本協定にもとづいて実施しようとする米軍のグアム新基地建設に対する二十八億ドルもの財政支出に何の道理もないことです。日本の資金は在沖縄米海兵隊のグアム移転に伴う施設等の整備にあてるとされますが、それらはすべて米国領内で行われる米軍の基地建設です。

 安保条約・地位協定に照らしても日本が経費負担を行う義務は全くないばかりか、世界中に広く展開する米軍の部隊が本国へ撤退するために、これほど巨額の財政負担を条約まで結んで行おうとする国は、世界のどこを探しても日本政府のほかにはありません。

 そもそも、在沖縄米海兵隊のグアム移転は、米国が自らの軍事戦略に基づいて、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の四軍の部隊をグアムに集め、戦力投射の拠点にする計画の中心を成すものであり、日本国憲法に照らせば財政的に関与すべきでないことは明らかです。日本政府がこのような前代未聞の経費負担に踏み出せば、今後における際限のない米軍への支援拡大の要求をも招きかねないことを強く指摘しなければなりません。

 反対理由の第二は、政府がグアム移転への財政支援を行う理由に挙げる「沖縄の負担軽減」論が、全くのまやかしであることです。沖縄からグアムへ移転する「八千人」が「実数」ではなく「定員数」である上に、その「定員数」には縛りがかけられないことが審議を通じて明白になりました。沖縄の基地は、米軍が世界で戦争をするために出入り自由の出撃拠点として使用されてきました。本協定による措置はその実態を何ら変えるものではなく、そのもとで起きてきた基地被害の根絶につながるものではありません。

 さらに、本協定は多くの沖縄県民が反対する辺野古沖での海兵隊最新鋭基地の建設をパッケージとして明記しています。この計画が実施されれば、辺野古沿岸の海洋環境をはじめ、沖縄の貴重な自然環境を破壊するにとどまらず、周辺地域に新たな騒音被害や基地被害をもたらすことは必至です。

 沖縄県民は、長年、米軍基地が存在するがゆえの耐えがたい苦しみを受け続け、日米両政府はそれを放置してきました。これ以上、米軍基地の強化・固定化を押しつけることは、基地の苦しみからの解放と平和を求める県民の願いを真っ向から踏みにじるものであり、断じて容認できるものではありません。

 そもそも、沖縄の基地は、米占領下で、住民を排除し、銃剣とブルドーザーで奪った土地の上に築いたものであり、直ちに無条件ですべて返還するのが当然です。日本政府は、辺野古沖の新基地建設計画を直ちに中止し、その責任において普天間基地の即時無条件、全面返還を図るべきです。



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