2009年5月10日(日)「しんぶん赤旗」
共生の明日へ前進
ハンセン病市民学会が集会
ハンセン病市民学会は九日、鹿児島県鹿屋(かのや)市で第五回総会・交流集会を開き、全国から約九百人が参加しました。
統一テーマは「隔離の百年から共生の明日へ」。内田博文共同代表が、四月にハンセン病問題基本法が施行されたことや、昨年六月に国連でハンセン病差別撤廃条約が全会一致で採択されたことを報告。療養所を地域住民と交流できる共生のシンボルにするため、さらに前進しようと述べました。
国立療養所星塚敬愛園の岩川洋一郎自治会会長が歓迎あいさつ。病気で参加できなかった谺(こだま)雄二・ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会会長のメッセージが紹介されました。
報告では、政府の強制隔離政策の中で、歴史的に国民や社会の側がその政策を推進する役割を果たした面があったこと、二〇〇三年に熊本県で起きたハンセン病元患者宿泊拒否事件にみられるように今も偏見が残っていることが出されました。
五十三年間、療養所で生活している入所者は五十年ぶりに兄が連絡してきた際、会わなかった経験を話しました。「今は療養所に訪問してきた先生と中学生との交流が進み、ここに故郷を見つけました」と述べました。