2009年5月10日(日)「しんぶん赤旗」

米高官 グアム「移転」再検討発言

“期限も費用も不足”

日本の負担増・沖縄居座りへ


 在沖縄米海兵隊八千人の米領グアムへの「移転」計画について、米側から「期限内に間に合わない」「もっと費用がかかる」とする発言が相次いでいます。日本政府は「移転」協定で、グアムでの海兵隊新基地建設のための資金提供を米国に確約。自公政権は今週にも衆院で再可決・成立させようとしています。しかし、当の米側からはしごを外される事態にもなりかねません。


 米国防総省は七日、オバマ政権初の軍事予算案を米議会に提出しました。予算案では、グアム「移転」事業費(三億七千八百万ドル=約三百七十八億円)が初計上され、「移転」計画は順調に進んでいるようにも見えます。

 その一方、海兵隊のコンウェイ総司令官は六日、米下院で、グアム新基地建設に必要な支出は、米側が負担するとした約四十二億ドル(約四千二百億円)を「はるかに上回る」と証言。来年公表される「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)で、計画自体が再検討されるとの見通しを示しました。(米議会専門紙コングレス・デイリー電子版)

 これ以前には、グアム「移転」計画の実務責任者である米太平洋軍のキーティング司令官が、グアム「移転」は、完了期限とされる二〇一四年には終わらないと繰り返し発言しています。

インフラ足りず

 米政府監査院(GAO)の一連の報告書を読むと、これら米軍高官による発言の真意が見えてきます。

 昨年九月の報告では、海兵隊が「グアムでの海兵隊再編だけで、当初予定の百三億ドル(一兆三百億円)を上回る百五十億ドル(一兆五千億円)を超える」と見積もっていることを紹介。(1)高速輸送艦(HSV)の調達(2)北マリアナ諸島への訓練施設の建設(3)沖縄からグアムへの「引っ越し」費用―などを挙げています。しかも、これには射撃場の建設費二十億ドル(二千億円)や、沖縄に比べて年間約九千万ドル(九十億円)も高い「戦略的空輸」費用が含まれていないとしています。

 さらに今年四月の報告では、海兵隊「移転」を含む米軍増強で、グアムの人口が軍関係だけで二万五千人増えるにもかかわらず、電力、上下水道、学校、病院など社会インフラ整備費用を確保する見通しは立っていないと指摘しています。

 インフラ整備を期待していたグアム当局や議会では強い不満の声が上がっています。カマチョ知事はインフラ整備には、二〇一〇米会計年度に約六十一億ドル(約六千百億円)必要だと訴えています。

最悪のシナリオ

 もともと、グアムを海兵隊の新たな拠点とする計画は、日米間で合意した額をはるかに上回る計画でしたが、日米の当事者はその点をあいまいにしてきました。しかし、オバマ政権は軍事費を圧縮する方針で、特に軍事インフラ分野を大幅に削減しています。米軍の要求を満たす展望はありません。

 このまま計画が強行されれば、(1)グアムの新基地を十分に機能させるため、日本側に大幅な負担増を迫る(2)グアムで海兵隊の所要が満たせない分、沖縄への「再展開」を増やし、「移転」後も事実上、沖縄に居座る―といった最悪のシナリオも想定されます。

 そうなれば、日本国民の税金でグアムに基地を造っただけで終わり、沖縄の基地負担は何も変わらないということになります。壮大なムダに終わりかねないグアム「移転」経費の負担は、ただちに中止すべきです。 (竹下岳)

表

 グアム「移転」計画 2006年5月の在日米軍再編ロードマップで最終合意。「沖縄の負担軽減」を口実に在沖縄海兵隊8000人と家族9000人をグアムに移し、司令部棟や兵舎、家族住宅などを建設します。「移転」費用は総額102.7億ドル(約1兆2700億円)で、日本が60.9億ドル(約6090億円)を負担。今年2月に日米両政府が日本の費用負担を義務化したグアム「移転」協定に署名しました。



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