2009年5月3日(日)「しんぶん赤旗」

連休前後 ハローワーク大混雑

相談待ち 2時間半も

東京・渋谷区


 年度末の「派遣切り」「正社員切り」を受けて、各地のハローワークに来所者が急増しています。なかには、職業相談窓口の待ち時間が「一時間から二時間半」として混雑のおわびをホームページに掲載しているところもあります。(染矢ゆう子、柴田善太)


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(写真)ハローワーク渋谷の前で開所を待つ人たち=2日、東京都渋谷区

 東京都渋谷区のハローワーク渋谷では、来所者が昨年四月の一・五倍で毎日千人を超えています。所内のパソコン端末で求人の検索をする人は一・八倍に増えました。取材した四月三十日も、七十二台あるパソコン端末は満員状態。生後すぐの乳児を抱いてカウンターに並ぶ母親の姿もありました。

 IT関連会社の契約社員だった女性(36)は「期間の定めなく八年間働いてきた会社で、急に三月末で契約終了と言われました。契約書も見せてもらえません。正社員の採用は三十五歳までというのが一般的なので(就職活動は)きつい」と話します。

突然の解雇

 正社員の解雇も広がっています。弁当店の正社員だった男性(33)は、四月上旬に「『今日でおしまいだから』と突然解雇された」と話します。一月に解雇された元正社員の女性(32)は、その後「同僚も次々解雇された」といいます。

 大企業の正社員だった女性(38)は働いていた事業所が廃止され、通勤に片道二時間もかかるところへ異動を迫られたため年度末の希望退職に応じました。「(ハローワークの)初日の手続きが三十人待ちで驚きました。介護職に転職しようとヘルパーの資格を取っていますが、給与が安くてやっていけません」と、ため息まじりに話します。

 一方、「求職者の七割が正社員を希望していますが、正社員の求人が少ない」とハローワーク渋谷の松本(まつもと)順一職業相談第一部長は話します。求人の過半数は非正規社員です。全国的には、正社員の有効求人倍率は〇・五二倍(三月)に落ち込んでいます。

想像絶する

 昨年九月から求職している女性(30)は「十社以上受け、書類選考すら通らず落ち込みます。毎日十社の申し込みをしても通らないと聞きました。一人の求人に四百人の応募があるときもあります。失業手当の出る三カ月の間に何とかなると思っていたけど厳しい」と話します。

 元派遣社員で、職業訓練校でパソコン技術を習得した男性(30)は半年以上求職活動をしています。「書類選考で三十社以上落とされました。経験者でも切られている今、未経験者を育てる余力のある会社はほとんどありません」と肩を落とします。

 条件に合う仕事がなく、「職探しをあきらめました」と話す女性(27)もいました。

 ハローワークの職員らでつくる全労働省労働組合の石山勲中央執行委員は「年度末は例年離職者が多いのですが、加えて『派遣切り』『非正規切り』と正職員への波及で全国どの安定所も想像を絶する数の求職者です。連休中もその前後も多忙を極めますが、できる限りの対応をしています」と話します。



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