2009年4月29日(水)「しんぶん赤旗」

辺野古新基地 アセス説明会

住民「どうなるんだ」疑問 噴出

棒読み ■ 並ぶ専門用語 ■ 飛行経路把握せず


 沖縄防衛局が行った米軍辺野古新基地建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の準備書住民説明会は二十四日、予定の三回の日程を終了しました。いずれも質問すべてには答えないまま打ち切られました。“説明はした”との同局の「アリバイづくり」の側面が際立ち、住民理解を図るというアセスの目的とも程遠いものとなりました。(藤川良太)


 説明会は二十二日に名護市の久志支所、二十三日に宜野座村の松田地区公民館、二十四日に名護市の辺野古交流プラザで開かれました。

物々しい雰囲気

 アセス手続きのなかで法令に基づいて唯一、住民と防衛局が直接、顔を合わせる場となる説明会。五十人以上の防衛局職員がスーツ姿で会場を取り囲み物々しい雰囲気に包まれました。一時間半のプログラムのうち一時間余をあいさつや準備書の説明に費やしました。

 棒読みされた説明は随所に専門用語が並びました。例えば使用が予定される航空機の種類では「CH46、UH1」。ケーソン式護岸に使用されるのは「RCケーソン。ハイブリッドケーソン」。CCD濃度、CH53のホバリング時におけるピーク騒音レベル予測コンター…。

 沖縄の「おじい」「おばあ」も並んだ会場からは、説明中から「だから、どうなるんだ」と住民の怒気を含んだ声が飛びました。

 会場で質問できた人は一日目四人、二日目六人、三日目八人と一ケタにとどまり、時間を理由にした打ち切りには「逃げるな」と住民が詰め寄る場面もありました。

 いずれの会場でも住民からはアセス準備書の問題点や不明な点が次々に挙げられました。

 どの会場でも出されたのが住民の生活に直結する騒音についての質問でした。「キャンプ・ハンセンや伊江島までどういう飛行経路で行くのか」。住民が住宅上空を通るのではないかと質問すると、防衛局の回答は「把握していない」。

 今回のアセスの調査で基地建設予定地やその周辺ではウミガメのふ化や環境省が絶滅危惧(きぐ)種に指定しているジュゴンが生息していることが確認されています。

 防衛局が保全措置として「衝突が避けられる速度で航行する」と説明すると、「本気で言ってるのか」と失笑が漏れました。

 埋め立てのための大量の海砂採取についても環境に影響が出ると質問が出されました。防衛局側は「全体二千百万立方メートルのうち千七百万立方メートルを外部から調達する。県内外、いろんなケースを考えている。まだ決まっていない」と説明しました。千七百万立方メートルは東京ドーム(約百二十四万立方メートル)約十四個分に相当します。

「軍港だ」とヤジ

 弾薬搭載エリアが設けられることについては「普天間(米軍基地)には無いぞ」、軍艦が係留できる護岸の建設には「軍港だ」とのヤジが飛びました。

 基地の必要性や「(米兵の)事件・事故が起こった場合の責任はだれが取るのか」といった根本的な質問も出されました。事件・事故の責任について防衛局は「日米安保体制を非常に大事と思っている。そのため米軍施設は必要性がある」と答えると「安保が責任取るのか」「安保の犠牲になれということか」との疑問の声が上がりました。

 県内の他の地域や再度の開催を求める住民らに、防衛局は「法令に基づき関係地域で実施している。本格的に影響を受ける地域の住民に説明するために選定した。(他の場所では)今のところ考えていない」としました。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の真喜志好一さんは「地域の人に必要のないものばかりで関心のあることの説明はなかった。一方的な説明で質問時間は短くされ、アセスの住民とのコミュニケーションを図るという目的は無視され、事業者のアリバイ的なものとなった」と話しました。



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