2009年4月29日(水)「しんぶん赤旗」

「新型インフル」宣言

WHO、警戒度上げ「4」

人から人への感染増加


 【ロンドン=小玉純一】世界保健機関(WHO)は二十七日、ジュネーブで開いた緊急委員会の勧告に基づき、メキシコ、カナダ、米国などで人への感染が拡大している豚インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ3」から新型インフルエンザが発生したと宣言、「フェーズ4」に引き上げました。


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 マーガレット・チャンWHO事務局長は声明で、決定がウイルスに人から人への感染と地域レベルの流行を起こす能力があることを示す疫学的なデータに基づいたものであることを明らかにしました。同事務局長は、「引き上げは、パンデミック(世界的大流行)の可能性が高まったことを示しているが、パンデミックが不可避だということではない」とし、「さらに情報が得られれば、WHOはフェーズ3に戻すか、さらに警戒レベルを引き上げるかを決定する」と述べています。

 また同事務局長は、「国境の閉鎖や国際的な渡航に制限を行わないように勧告する」と述べています。

 人から人への感染がかなり増加し、二カ国以上に拡大した状態を示す「フェーズ5」との判定は、メキシコとの接点がある人に感染が限定されていることから見送られたもようです。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は同日、ニューヨークで声明を発表し、「どの国も単独では、こうした規模の危機に対応することはできない」として国際的な連帯を強調。「貧しい国がとくにぜい弱だ」として、こうした国々で危機が過大なものとならないような措置をとると言明しました。

政府が対処方針

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを「人から人への感染増加」を示す「フェーズ4」に引き上げたことを受け、政府は二十八日、「新型インフルエンザ対策本部」を設置し、検疫体制の一層の強化などを柱とする「基本的対処方針」を決定しました。

 対処方針は、今年二月に改定した「新型インフルエンザ対策行動計画」に沿ったもので、メキシコへの渡航延期を勧告する感染症危険情報の提供や、同国から入国した感染者の隔離などの水際対策に重点を置いています。同国から入国する外国人へのビザ発給審査の厳格化などの措置も取ります。

 国際的な連携を密にして、WHOや諸外国の対応状況や新型インフルエンザウイルスに関する情報収集に最大限の努力を払い、国民に迅速・的確な情報提供を行います。また、国民の問い合わせに対して、厚生労働省・外務省や自治体などの相談窓口で適切に対応するとしています。

 さらに、問題のウイルス株を早急に入手し、ワクチン製造を急ぐほか、国内での感染者発生に備え、保健所への「発熱相談センター」や、感染症指定医療機関への発熱外来の設置を準備します。


 新型インフルエンザ 人が免疫をもたないタイプのインフルエンザウイルスが人から人へ感染するようになって流行するインフルエンザ。従来、鳥インフルエンザウイルスが人から人へ感染するタイプに変異することが警戒されていましたが、メキシコで多発しているインフルエンザは、豚インフルエンザウイルスが変異したと考えられています。


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