2009年4月25日(土)「しんぶん赤旗」

賃下げ強要は違法

府中観光 都労委が命令


 タクシー乗務員でつくる府中観光交通労働組合が会社の一方的な賃下げに異議を申し立てた問題で東京都労働委員会は二十三日、会社が経理資料を示さず、労働協約破棄や会社廃業をちらつかせ、賃下げを強要するのは違法だと、会社側に誠実に対応することや謝罪文の掲示を命令しました。

 組合は、二〇〇七年三月、国土交通省が運賃増収分を労働条件向上に充てるよう通達を出すことを受けて、増収分を賃金や労働条件の改善に充てるよう要求書を提出しました。

 ところが、会社側は、「赤字が続いている」といって、月三万円もの賃金削減を提案。ところが、組合には具体的な経理資料を開示せず、「労働協約を解約する」「応じないと廃業もある」などといって賃下げを強要したため、組合が都労委に救済を申し立てました。

 都労委は、会社の提案は「国土交通省通達の方針にも反する賃下げ」だと指摘。経営状況に関する資料も開示しなかったことは、「不誠実な団体交渉に当たる」と述べています。

 労働協約解約や会社廃業を発言したことは「組合の運営に対する支配介入に当たる」と判断しています。

 山口真美(なおみ)弁護士は、「『不況で赤字だ』と言って、労働者の首切りや賃下げが横行するなか、そういう抽象的な理由では認められないと判断した意義は大きい」と語っています。



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