2009年4月16日(木)「しんぶん赤旗」

諫早開門調査 3方法

九州農政局 アセス説明会に提示


 九州農政局は諫早干拓事業で設置した南北排水門の開門調査のための環境アセスメント(影響評価)方法書骨子(素案)の説明会を十五日、熊本市内で開きました。

 素案では、開門方法のほか環境影響を受ける可能性がある範囲と認められる地域(関係地域)、影響評価の項目とその調査、予測、評価の手法などが示されました。

 開門方法は(1)開門当初から排水門を全開にする(2)調整池の海水導入量や排水量を段階的に増加させ、最終的に全開にする(3)背後地の防災や構造物の安全等への影響を最小とするため調整池の水位や流速を考慮する―の三つ。関係地域は有明海、諫早市、雲仙市としました。

 同日から素案に対しての意見を募集し早ければ今年夏までに方法書を公表する方針としています。環境影響評価を二〇一一年度までに確定し、その後、関係者に開門調査への同意を求めていくと説明しました。


手続き重ね先延ばし

弁護団・原告団が批判

 諫早干拓事業をめぐり裁判をたたかっている「よみがえれ! 有明訴訟」の弁護団、原告団、同訴訟を支援する「有明海漁民・市民ネットワーク」は十五日、熊本市内で記者会見し、排水門を開門するための対案を発表しました。弁護団らは「農水省のアセスは不要な手続きを重ね開門を先延ばしするもの」と批判しました。

 対案では、アセスと同時に被害防止策をとり段階的開門を実施するとしています。開門は三段階を設け、一段目として国が行った短期開門調査と同じように調整池の水が一メートルから一・二メートルの範囲で水位が推移する小規模の開門を実施。実施は、仮設的な代替農業用水の手当てが終了した後としています。

 また、被害防止策、被害補償などを話し合う利害関係者や原告、弁護団が指名した各分野の研究者らでつくる開門協議会の設置も提案しています。この協議会には、福岡、長崎、佐賀、熊本の沿岸四県の自治体代表、各漁連や干拓農地の代表などを想定しています。

 九州農政局の方法書骨子については▽開門方法が三ケースもいらない▽法制度上、開門はアセスの対象ではなく環境影響評価法に準拠すべきでない▽いたずらに時間がかかりすぎる――などの問題点を指摘しています。

 馬奈木昭雄弁護団長は「開門方法と被害防止策、被害補償について一つの案として示すべきだ」と九州農政局を批判しました。



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