2009年4月14日(火)「しんぶん赤旗」

きょう審議入り「海賊対処」派兵新法案

与党・民主「修正」の動き


 政府が国会に提出している「海賊対処」派兵新法案が十四日の衆院本会議で審議入りしますが、ここにきて与党・民主党間での「修正」協議という危険な動きが浮上しています。

 同法案は特別委員会で審議されますが「定例日」がありません。政府・与党は委員会を連日開催し、スピード審議を狙っています。自民党の大島理森国対委員長は十三日、各党国対委員長を個別に訪ね、法案の月内衆院通過を目指す意向を示しました。河村建夫官房長官も同日の記者会見で、「海賊対処法案は一日も早く成立を期さなければならない」と強調しました。

政府案を追認

 これに対し民主党は「修正」案を提出し、与党との「修正」協議に持ち込む方針です。「修正」案は、十五日に開かれる同党「次の内閣」閣議で正式に決定する予定です。政府内にも「修正」を容認する動きがあります。与党と民主党の「修正」協議が整えば、十分な審議なしに法案が強行される可能性が高まります。

 政府案は、海上保安庁では海賊に対応しきれない場合に自衛隊の出動を認め、期間も地理的範囲も限定しない恒久法となっています。さらに海賊の「進行を停止」させるため武器使用基準の拡大を認めています。海賊との交戦を想定し「任務遂行上の武器使用」を認めるのは、これまでの海外派兵法を超える憲法破壊の動きです。

 これに対し、民主党「修正」案は、政府案の重大な問題点を追認するものです。

公然と求める

 九日に同党外務防衛部門会議に示された「修正」案骨子によると、主な「修正」点は、自衛官を派遣する場合に、首相を責任者として設置される「海賊対処本部」の「隊員」の身分を併有させ、警察活動としての「形式」を維持するというもの。自衛隊の派兵、武器使用基準の拡大そのものに変更はありません。

 民主党衆院議員の一人は「実態は自衛隊の派遣かもしれないが、警察活動を行うわけだから仕方がない」と言います。他方、参院議員の一人は「形式的な修正に意味はない。自衛隊をそのまま出せばいい」と“小手先”の「修正」ではなく、自衛隊の派兵を公然と求めています。

 党内では「西松献金問題で抵抗力が弱まっているうえ、北朝鮮ミサイル問題でも、海賊問題でも世論が与党の対応を支持している中で、基本的に反対はできないという声が大勢だ」と言います。(中祖寅一)



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