2009年4月6日(月)「しんぶん赤旗」

北朝鮮 ロケット発射

共産党 自制迫る外交努力尽くせ

政府 軍事的な対応で身構える


 北朝鮮は、国際社会が自制を求めたにもかかわらず、五日ロケットを発射しました。この問題をめぐって、日本政府はこれまで、北朝鮮に自制を強く迫る外交的努力をまったくやらないまま、軍事的対応で身構えるという態度をとってきました。

 麻生太郎首相は北朝鮮に「弾道ミサイル発射」の兆候があるとして、「自衛隊法上の対応はできる」と“迎撃”を示唆(三月二日)。浜田靖一防衛相も「迎撃対象は、なんであれ制御を失ってわが国に落下する可能性があるとすれば、人工衛星も含まれる」(同三日)と「迎撃」という言葉を使うなど、“勇ましい”発言が続きました。

 北朝鮮が「人工衛星」打ち上げだとして、国際機関に通告(同十二日)した後も、「人工衛星と称しても国連安保理決議違反との政府の立場は変わらない」(麻生首相)との立場を強調。発射の場合は、制裁を強化する立場を繰り返し表明してきました。

「冷静な議論求めたい」

 これに対し、日本共産党は、笠井亮衆院議員が三月二十二日、NHKの日曜討論で「北朝鮮には、緊張を悪化させるような行為を差し控えることを求めることが必要だ。同時に、日本も軍事的対応に進むという緊張を悪化させることはやめるべきだ」との見解を示しました。

 同月二十六日には、志位和夫委員長が記者会見し、「北朝鮮に対してはロケット発射を自制することを強く迫るあらゆる外交的努力を尽くすことだ」と指摘。軍事的対応で身構える政府の対応には、くみしえないとの態度を明らかにしました。

 マスメディアでも、共同通信が五十嵐泰編集委員の「論説」を配信。「首相が、やるならやってみろと言わんばかりの姿勢をとるのは、突出しすぎだ」「共産党の志位和夫委員長が『外交努力をやらないまま軍事で身構えるのは、外交的解決を台無しにする』と批判したのも当然だ」「現在や未来にどういった脅威があり、国と国民を守るにはどうすれば良いのか。政局的思惑から離れ、冷静な議論を求めたい」と論じました。

マスコミも「突出」批判

 ところが、政府は三月二十七日、「万万が一に備える」として、自衛隊法にもとづく「破壊措置命令」を発する方針を確認。PAC3ミサイルを東北地方など五カ所に配備するとともに、海上発射のSM3ミサイルを搭載したイージス艦を日本海に展開しました。

 こうした日本政府の対応について、マスメディアも「脅威あおる政府対応」「ミサイル問題 日本騒ぎすぎ?」(「東京」三日付)と報道。韓国メディアは「戦時をほうふつとさせる警戒態勢に突入した」(MBC放送)と報じました。

 こうしたなか、日本政府は四日にはロケット発射の「誤報」という失態を演じ、世界で報道されました。志位氏は同日、記者団に問われ、「お粗末の一言に尽きる」「国民に間違った情報を伝え、不安と不信を招いた責任は重大だ」とのべました。



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