2009年4月6日(月)「しんぶん赤旗」

主張

政府の追加経済対策

「いつか来た道」に入るな


 麻生太郎首相が政府・与党に追加経済対策の策定を指示しています。首相は記者会見で「なお日本は経済危機」だとして、「まさに政府の役割、財政の出動が求められている」とのべました。

 政府の追加経済対策の土台となる自民党の「日本経済再生への戦略プログラム」の中間報告は、「対策の規模は過去最大級」と財政出動の大きさを誇示しています。

借金だけを膨らませ

 中間報告は柱の一つに「21世紀型のインフラ(基盤)整備」を掲げ、巨額の税金を投じようとしています。具体的に挙げているのは「高規格幹線道路」「三大都市圏環状道路」などの大型道路や、「スーパー中枢港湾」「首都圏空港」など従来型の公共事業です。

 これは「いつか来た道」です。一九九〇年代の景気対策、特に自ら「借金王」と名乗り、「何でもあり」と豪語した小渕内閣の経済対策をほうふつとさせます。

 小渕内閣が九九年十一月に発表した経済対策は、政府系金融の融資枠などを含む事業費総額十八兆円の大型対策でした。財政支出は六・五兆円で、その半分以上を公共事業に費やしました。景気回復の効果は見られず、巨額の借金を増やしただけに終わりました。

 小渕内閣が「二十一世紀の新たな発展基盤の整備」と称して実施した公共事業には、大都市の環状道路、拠点空港・港湾の整備などが並んでいます。今回の自民党の中間報告に盛り込まれた事業と、看板も中身もうり二つです。

 効果のない対策に膨大な税金をつぎ込むやり方は、本当に必要な分野への支援を抑える結果を招くだけでなく、いたずらに財政赤字を膨らませます。苦い教訓を政府・与党は思い出すべきです。

 日本の景気は欧米よりも急激に悪化しています。まさに「政府の役割」が求められていますが、麻生内閣と自民、公明は昨年の夏に大枠を固めた二〇〇九年度予算案を組み替えることさえやりませんでした。軍事費や道路財源の無駄遣いを温存する一方で、ゆきづまりが明らかな社会保障の抑制路線にしがみつき、大企業・大資産家向けの減税をいっそう拡大する予算です。さらに〇八年度の補正予算に盛り込んだ対策の最大の目玉が、選挙目当ての「定額給付金」です。

 自公政府には大企業の「派遣切り」「下請け切り」をやめさせ、大銀行の貸し渋りを是正する指導・監督の責任を、きちんと果たそうという姿勢もありません。

 これでは、麻生内閣と自公がまじめに国民の暮らしと経済の危機に対処しようとしているとは、とても思えません。

消費税増税の撤回を

 何より、政府・与党が、中・低所得者と中小企業を痛めつける消費税増税に固執していることは、決定的な誤りです。

 厳しい不況のもとで、二年後には増税だと言われ、増税の法律を通すことまで決められて、景気が良くなるはずがありません。外需依存の成長路線が破たんし、内需に活路を求める以外になくなっているにもかかわらず、最も内需を冷やす消費税増税に突き進むのは、あまりにも異常です。

 ますます景気を悪化させる消費税の増税計画は中止すべきです。雇用や社会保障への対策とともに、食料品非課税など消費税減税に踏み切ることが必要です。


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