2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

上限ない日本の負担

在沖米海兵隊のグアム「移転」協定

笠井議員質問で浮きぼり


 日米両政府が二月十七日に署名した在沖米海兵隊のグアム「移転」協定では、「移転」費用のうち、日本側資金を「上限二十八億ドル」としています。しかし、いったん国民の税金を投入すれば「上限」を大きく超え際限のない財政負担が待っている―。日本共産党の笠井亮議員が三日の衆院外務委員会で行った質問で浮きぼりになりました。


税金で穴埋め

 第一の問題は、在日米軍再編ロードマップ(二〇〇六年五月)で合意した海兵隊グアム新基地の建設費総額約百三億ドルのうち、日本側負担とされる約六十一億ドルの枠の大部分に税金が投入される「リスク」があることです。

 (1)六十一億ドルのうち、司令部庁舎などの建設に充てる「二十八億ドル」(表の(1))が直接の財政支出の上限(2)家族住宅やインフラ整備に充てる残りの約三十三億ドル(表の(2))はこれらを管理するために設立した民間会社に無利子で「融資」「出資」し、その後五十年かけて回収する―。これが日本政府の説明です。

 この点について笠井氏は、防衛省が委託して民間の建設会社が作成した新基地建設「基本構想」をもとにただしました。

 笠井 家族住宅について、「基本構想」では、「駐留人数(米兵)の減少」「家賃の未払い」「戦争やテロ」などを挙げ、「日米両政府の間での(リスク)分担が重要」としている。そういう場合を想定して、さらに分担があるのか。

 高見沢将林防衛政策局長 想定されるリスクの洗い出し、官民のリスク分担のあり方などについて総合的に検討している。

 高見沢氏はこう述べ、税金による穴埋めの可能性を認めました。

その都度判断

 第二に、「新基地が完成すれば終わり」とはいかないという、驚くべき問題点も明らかになりました。

 グアム「移転」後も沖縄には海兵隊の実戦部隊が残り、司令部が置かれるグアムとの一体的な運用が想定されています。

 笠井 沖縄の「負担軽減」のためにグアムで訓練するという名目がつけば、海兵隊の移動経費や活動経費まで負担することはあり得るのか。

 高見沢 仮に地元の要請で行くのであれば、日本政府による負担は否定できない。(グアム協定終了後の負担については)その都度判断する。

 笠井氏は、「沖縄から海兵隊八千人がグアムに移動した後、じっとしているわけではない。移動経費・活動経費の負担は必ず直面する問題だ」と指摘しました。

どんな施設も

 「上限二十八億ドル」という財政からの直接支出、いわゆる「真水」部分についてはどうなるのか。

 政府はこの二十八億ドルについて、「司令部庁舎」「教場」「隊舎」「学校等生活関連」の四分野に使うとしています。

 しかし、今年度予算には「二十八億ドル」の枠内での支出として、米海軍アプラ基地の基盤整備費約百七十四億円が計上されています。これについて高見沢氏は、「海兵隊の移動に使う強襲揚陸艦などが利用する」として正当化しました。

 笠井氏は、米側が〇八年四月に公表した「マスタープラン素案の概要」に照らせば、「グアムの米海軍基地を、四万トン級の強襲揚陸艦と一千人の兵員を運ぶ高速輸送艦も使える最新鋭の基地にするものだ」と指摘。「『海兵隊の移転』とか『海兵隊と一体に運用するから』という名目で整備が許されたら、日本の負担でどんな施設も整備できることになってしまう」と批判しました。

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