2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」

金融規制・監督を強化

G20首脳会議 途上国支援を拡大


 【ロンドン=西村央】日米欧の主要国に中国、インドなどの新興国を加えロンドンで開かれた二十カ国・地域(G20)の首脳会議(金融サミット)は二日、声明を採択して閉幕しました。世界的な金融危機と景気後退の中で「安定・成長・雇用」を掲げた今回のG20金融サミットは、成長・雇用の回復、金融監督・規制の強化、国際金融機関の強化、貿易・投資の促進、持続可能な回復などで、先進国だけの従来のG7サミットより踏み込んだ対策を示しました。

 議長を務めたブラウン英首相は会議後の記者会見で、「古いワシントン・コンセンサスは終わった」と述べ、米国主導の国際金融支配体制が幕を閉じたとの見方を示しました。

 同会議は、金融規制について、規制・監督の失敗が危機の根本原因だとして、各国の金融監督当局で構成する金融安定化フォーラム(FSF)を拡大・強化し、より強力な金融安定理事会に改組することで合意しました。また、激しい投機で市場のかく乱要因となってきたヘッジファンド(投機的基金)を初めて監督・規制の対象に含めました。

 成長・雇用の回復では、全体として一・一兆ドル(約百十兆円)のプログラムで合意しました。そのほか、各国が二〇一〇年末までに財政出動を五兆ドル(約五百兆円)に拡大し、生産を4%拡大し、数百万人の雇用を創出するとしました。そして、一〇年末までに世界全体の経済成長率を2%に回復させるのに必要なあらゆる行動をとることを確認しました。

 世界的景気後退の影響を受けている発展途上国・新興国に対しては、国際通貨基金(IMF)の融資資金を三倍増の七千五百億ドル(約七十五兆円)に拡大し、IMFの特別引き出し権(SDR)の配分を拡充することとしました。また、低所得国には利用可能な資金を五百億ドル(約五兆円)増加し、最貧国にはIMFが保有する金の売却益などを使い今後二―三年で六十億ドル(約六千億円)を援助するとしました。

 一方、懸案のIMFや世界銀行の改革については声明で、発言権・代表権の拡大や幹部登用の開放に言及しましたが、具体策は示されませんでした。


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