2009年3月24日(火)「しんぶん赤旗」

東欧、金融危機に苦悩

通貨下落・工場引き揚げ


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 欧州連合(EU)に加盟して間もない東欧諸国を金融・経済危機が直撃しています。二十一日に経済危機の中で辞意表明したハンガリーのジュルチャーニ首相は、「(経済政策実施のための)障害となっているなら辞職する」と言明。二月にはラトビアのゴドマニス内閣が総辞職しています。

 二カ国にはEUに加盟した安心感から外国からの投資が激増し、対外債務もうなぎのぼりとなっていました。欧州単一通貨ユーロに比べ、ハンガリーの通貨フォリントが昨年八月以来約30%下落するなど通貨が軒並み大幅下落しました。

 これに追い打ちをかけたのが世界同時不況です。仏自動車大手ルノーがサルコジ政権の国内優遇政策に反応しスロベニアの工場を閉鎖し、仏国内に引き揚げることを明らかにしました。ドイツの工場を閉鎖しルーマニアに移転しようとした世界最大の携帯電話機会社ノキアはルーマニアへの新工場建設を凍結しました。東欧諸国の株式や債権市場からも大量の資金が引き揚げられています。ロシアのウクライナとの天然ガス紛争のあおりを受け、東欧諸国への天然ガス供給が停止されたことも、不安定要因となりました。

 ブルガリアでは、大手製鉄所の倒産など雇用不安に対する大規模な抗議行動が続いています。ユーロ圏加盟をめざす国は、経済危機にもかかわらず緊縮財政を迫られていることから国民の不満も募っています。

 これに対し、西欧の以前からのEU加盟国は自国の危機管理にせいいっぱい。EU内では西欧諸国の保護主義が問題となり、十九、二十の両日、ブリュッセルで開催されたEU首脳会議では「新たな鉄のカーテンが引かれようとしている」(ジュルチャーニ首相)との悲鳴も上がりました。同首脳会議は、東欧への金融支援を打ち出しましたが、東欧側が要求していた巨額の支援基金創設は見送りとなりました。

 通貨下落と資金流出がEUの当面の支援策で止まるのかどうか、東欧諸国は危機感を強めています。(片岡正明)



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