2009年3月21日(土)「しんぶん赤旗」

要介護度切り下げの新認定方式

大銀行系シンクタンク関与


 「利用者の実態を無視した認定が増える」と批判を浴びている介護保険制度の新しい要介護認定方式。この推進に、大銀行系シンクタンクが中心的に関与していたことが日本共産党の小池晃参院議員の調べなどで二十日までにわかりました。

 このシンクタンクは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社です。認定方式改変の経緯を追うと、利用者と介護者の視点の欠落が浮かび上がります。

 重度の寝たきりの人の「移動・移乗」を「自立」と判断するなどで反発を呼んでいる新たな認定調査員テキスト。これを同コンサルティング社が作成したことは、十八日の参院予算委員会で小池氏の質問に舛添要一厚労相が認めました。同社が主体となったテキスト作成検討会の外部メンバー六人は行政関係者や研究者ばかり。利用者と介護者の代表は一人も入っていません。

 同社は、厚労省から二〇〇七年度の「要介護認定適正化事業」を委託され、認定の「適正化」を目的に各地の認定審査会に「技術的助言」を与えました。

 認定方式改変を議論した、厚労省の「第四回要介護認定調査検討会」(〇八年五月)にも、同社の副主任研究員(現在は主任)が出席。「火の不始末」などの重要な調査項目の削除を主張し、新方式に取り入れられました。同検討会にも利用者の代表は入っていません。

 同社が実施した「要介護認定適正化事業」などについて〇八年に厚労省が作成した「実績評価書」は、介護費用が増えてきたため、「真に必要なサービスに対して給付が行われるよう、給付の効率化・重点化を行ってきた」と記しています。

 認定の「適正化」や認定方式改変の根底に、介護費用抑制の狙いがあることを示しています。

 小池議員の調査で、〇六年度の「高齢者介護実態調査事業」は、みずほ情報総研、「要介護認定ソフト開発・導入事業」はNEC(〇七年度)と東芝ソリューション(〇八年度)に委託するなど、大企業への丸投げの実態も分かりました。



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